世界で注目される「コイのすり身」
我が国では親しまれているコイですが、実は世界の侵略的外来種ワースト100に含まれるほど、世界中で問題となっている外来種です。雑食性で貪欲、大きくなれば天敵もおらず、おまけに長生きであるコイは、一度環境に入り込むと水草や小動物を食い尽くし、水底をまるで砂漠のように変えてしまうのです。
コイが外来種問題を引き起こしているアメリカのミシシッピ川流域では今、コイを漁獲し加工食品にする取り組みが実施されています。丸のままのコイは、アメリカでは食用としての人気は皆無であり、漁獲しても赤字になるだけです。しかしそんなコイをすり身に加工することで、コイを食材として好む中国に輸出したり、ユダヤ教徒向けの食材として販売することができるようになるそうです。
コイは身の味が良い一方で、生育環境によっては泥臭さがあったり、小骨が多くて食べづらいことが流通の上でネックになります。しかしすり身にするとこの問題が解決でき、また料理の幅も広がるため、消費者も購入しやすくなるのです。
世界的に魚の需要が高まり続ける中、世界的な未利用魚の代表ともいえる「コイ」のすり身が、今後メジャーな食材となっていくかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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