世界に広く分布していながら、食材として認識される地域とされない地域の差が大きい「コイ」。しかし今、駆除を兼ねてその「すり身」の活用に注目が集まっています。
「コイのかまぼこ」
5月5日の端午の節句に向けた「コイの形のかまぼこ」作りが、熊本県天草市で先日行われました。
この「コイのかまぼこ」はもともと、端午の節句に長崎で作られてきたものだそうです。戦後に長崎から来た技術者が天草のかまぼこ店に伝え、その後熊本県内でも作られるようになりました。
このかまぼこですが、実は原料に用いるのははエソなどの海水性の白身魚で、コイではありません。これらの魚の身をすりつぶし、クチナシや食紅などで錦鯉らしい鮮やかな色合に仕上げているそうです。
「コイのすり身」かまぼこも存在
上記の「コイのかまぼこ」がコイの身を使用しているわけではないように、一般的に淡水魚であるコイが、すり身などの加工品にされることはあまりありません。しかし、全く存在しないというわけでもないのです。
例えば、古くから鯉食が盛んで「佐久鯉」が有名な長野県佐久市では、コイのすり身で作った「鯉かまぼこ」が存在します。
この「鯉かまぼこ」は市内の飲食店が開発したもので、佐久鯉のすり身を丁寧に裏ごしし、コイの泳ぐ姿をかたどって作られています。このかまぼこをそばに乗せたメニューが市役所の食堂で振る舞われ、人気を博しているそうです。