ガンの死の宣告の2つの受け止め方

私自身はガンに罹ったことがありませんので、エラそうなことはいえません。ここからは素人意見に過ぎませんが、自分なりにガンの受け止め方を考えてみました。

まずは「人は寿命で亡くなるより、ガンで亡くなる方が多い」という事実への理解です。国立がん研究センターの調査結果によると、男女合わせた生涯ガン罹患リスクは55%とあり、「2人に1人はガンになる」といえます。

ガンのリスクは50代以降に高まるので、今回の男性はそれよりかなり若いタイミングというのは残念でした。しかし、「いつかは自分もガンにかかる可能性がある」ということを統計データから理解しておくことで、「自分だけではないのだ」と受け入れやすくなるのではと感じました。

それから、末期ガンのように、死の宣告を受けて徐々に体が弱っていく段階を経る人は、「死の受容過程5段階モデル」と呼ばれる精神的プロセスを辿ることを理解するのも、受容への近道となるかもしれません。

<死の受容過程5段階モデル>

・否認…死を受け入れない。

・怒り…理不尽な死への怒り。

・取り引き…死を回避するための取引の模索。

・抑うつ…気分の落ち込み。

・受容…死を受け入れる段階。

私は以前、顔出しも名前出しもしていない、20代で末期がんに罹った人の記事を熱心に最初から最後まで読んだことがあります。

彼の記事によると、「ガンの宣告を受けた時は、半狂乱と悲しみにふさぎ込んでいたが、死の受容過程を知った時、自分の精神がまさにこのプロセスを通っていたことを理解して、誰しもが通る道なのだと落ち着きを得た」とありました。

また、「最初はやり残したことがないように、あれこれ旅行や好きなことをやろうと思ったが、すぐにその気持ちは消えた。代わりに湧き上がったのは、自分のガンへの気持ちをネットに刻みつけ、それを読んだ人が少しでも救われたら…という思いだった」とありました。

結局、その男性は亡くなる数日前まで、携帯から頑張って記事を投稿し続け、「○○(男性のハンドルネーム)は安らかに旅立ちました。ご支援ありがとうございました。」という男性の家族からの投稿で更新の終わりを告げたのです。

彼がこの世に残した一文が他のがん患者の人の心に届くことで、受け止め方のヒントを得られるのではないでしょうか。末期ガンになってしまった人も、最後は「受容」へとたどり着く、ということを知っておくことで「気持ちの上ではいつか楽になれる」と思いました。

今回の記事を見て、出てこない情報などないように思える、ぽっかり空いたネットの穴を感じます。微力ながら、少しでも空いた穴を塞ぐ一助になるような記事を制作したいと思います。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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