魚は大人になってからも脳の全域でニューロンを増産できる

サカナは「考えるときだけ脳を巨大化できる」と明らかに
(画像=活発な電気信号のやり取りを行っている脳の維持には莫大なエネルギーが必要となる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究により、魚の脳は人間とは比べ物にならない柔軟性を持つことが示されました。

脳は維持するにあたって最も大きなエネルギーを消費する器官として知られており、状況に応じて大きさを変えられる能力は、エネルギー節約につながると考えられます。

この柔軟性の根底には、大人になってからのニューロン生成能力の違いによるものと考えられます。

人間の場合も、大人になってから脳内で新しいニューロンが作られることが知られていますが、その領域は記憶にかかわる「海馬」などに限られています。

しかし魚の場合、脳の全域で、大人になってからもニューロンが新たに作られていることが知られています。

そのため研究者たちは、ニューロンを新たに作る能力の違いが、状況に合わせた脳の大きさを作り出せる要因になっていると考えました。

もし魚のニューロン新生の仕組みが解明されれば、人間の脳を大きくする薬の開発につながるかもしれませんね。


元論文

Increased brain growth in escaped rainbow trout

Seasonal variation of brain size in a freshwater top predator


提供元・ナゾロジー

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