出店を加速する狙い

競争の激化やコロナ禍という苦境の中でも積極的に新規出店を継続する同社。今後の計画については「5年後の2000店舗の達成に向けてペースを緩めることなく出店を継続する」(杉浦社長)と力説。この1年で112店舗を新規出店したペースを継続し、関東圏も強化しながら2027年の2000店舗達成を改めて宣言した。

店舗数の拡大は同社にとって、売上向上の側面以上に「地域のヘルスケアステーション」を目指す上で重要な施策となる。なぜなら、いつでもすぐに来店できる、来店ができなければ薬剤師が患者宅を訪問する。そのためには、網目のように張り巡らされた店舗ネットワークが不可欠だからだ。

服薬、そして日用品の購入。調剤併設型DgSが主軸の同社にとって、店舗は利用者にとってまさに生活の拠点であり、健康のケアを意識する身近な場所となる。薬剤師が店舗で直接、顧客と顔を付き合わせるだけでも健康状態の把握ができる。来店頻度によってなんらかの変化の予兆を知ることもできる。

DX推進で顧客接点を強化

こうしたリアルのコミュニケーションで埋めきれない部分を補完するのがデジタルツールだ。例えば、スギ薬局アプリは、ドラックストア業界でも高水準となる833万ダウンロードを突破し、同社の顧客接点の重要なタッチポイントの一つとなっている。

気軽に歩くことでスギ薬局のポイントがたまる「スギサポwalk」は、221万ダウンロードを超え、ロイヤリティ向上に貢献している。

調剤シーンでは、処方箋を送信する機能を軸にしたかかりつけ薬局アプリ「kakari」が36万ダウンロードを達成。対面に加え、デジタルでも接点を持つことでより深い患者との関係構築が可能となり、薬剤師の専門性向上につながることが期待される。

さらにオンライン食事指導サービスやAIを活用した栄養素解析などの機能を実装する「スギサポイーツ」を投入するなど、同社はリアルとデジタルの融合を加速させており、「地域のヘルスケアステーション」となるためのDX施策を着々と浸透させている。