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暗黒物質ハローの構造
暗黒物質発見の手がかりになるか?

暗黒物質ハローの構造

結果、暗黒物質ハローは、大きさにかかわらず、中心が非常に密になった類似した内部構造を持っていて、外側に向かって拡散していることがわかりました。

これはすべて構造がそっくりであり、スケールバーが付随していなければ、1015倍の太陽質量という巨大銀河を包む暗黒物質ハローと、10-6倍の太陽質量未満という小型のハローが、見分けられないという状況を生み出していました。

もし「ダークマター」が見えたとしたら?最新のシミュレーションが未発見の暗黒物質を見つける鍵になるかも?
(画像=Credit:J. Wang; S. Bose/CfA.これはシミュレーションにより「宇宙のウェブ」と呼ばれる構造を視覚化したものです。、『ナゾロジー』より引用)

フィラメントの交差した球形の塊は暗黒物質のハローです。しかし、それが銀河団を包むハローなのか、それとも地球を包むハローなのか、大きさに対する情報がなければ、どれがどれだか構造だけでは判断できません。

過去の研究では、暗黒物質ハローは大きい場合と小さい場合では、構造にかなり違いが生まれると予想されていました。

しかし、シミュレーションの結果は従来の予想を覆すものだったのです。

これはあくまでシミュレーションの結果ですが、実際の観測データに基づいています。

この事実はこれまで発見されていなかった暗黒物質の新たな性質を明らかにしているのです。

暗黒物質発見の手がかりになるか?

もし「ダークマター」が見えたとしたら?最新のシミュレーションが未発見の暗黒物質を見つける鍵になるかも?
(画像=credit: depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

重力の影響がある場合、重力レンズという光の曲がりでその存在を確認することができます。

しかし小規模な暗黒物質ハローは、小さすぎるために光へ及ぼす重力の影響を検出することはできません。

WIMPの予想では暗黒物質は、ぶつかると反物質のように対消滅を起こしてガンマ線を放出すると考えられています。

ガンマ線観測では、銀河中心部から予想より過剰なガンマ線が放出されていることが示されています。

この過剰なガンマ線の発生源は、より小規模な暗黒物質ハローである可能性があるのです。

ハローの大きさはガンマ線のエネルギースペクトルに影響するため、今回のモデルを使えば、天の川銀河や、その他の銀河に見られる過剰なガンマ線量を具体的に予測することができます。

このシミュレーションは、まだ未発見の暗黒物質を直接検出するための、重要なツールの1つになるかもしれません。


参考文献

cfa


提供元・ナゾロジー

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