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ライバル候補の信頼感や知性を減らした顔画像を作成できる
次の目標は「個人の好み」も組み込んだ第一印象予測AIを作ること

ライバル候補の信頼感や知性を減らした顔画像を作成できる

自分ではわからない「自分の第一印象」を教えてくれるAIが登場!
(画像=Credit:Canva . ナゾロジー編集部,『ナゾロジー』より 引用)

新たに開発された技術は自分の第一印象に平均化とは異なる偏った特性を付与できます。

そのため美しさよりも強さやリーダーシップが求められる政治家などにとっては、より効果的な選挙ポスターを作ることが可能になります。

もちろん選挙ポスターの情報を捏造することは許されるものではありません。

ただ政治家が自分の顔をいじるだけなら、単なる嘘や見栄で済みます。

しかし今回開発された技術では信頼感や知性を増すだけでなく逆も可能になっています。

膨大な情報を学習したAI(ニューラルネット)は人間の顔に高い信頼感や知性を付与できるだけでなく、逆に信頼を置けない人間や頭の悪そうな人間と評価される特性を顔に付与することも可能です。

第一印象に好ましくない特性を付与することに、多くの人は何の意味も価値も見いだしません。

ですが政治家のようにライバルがいる人間では違います。

この技術を悪用すれば、政治家がライバル候補の顔写真に対して、信頼感や知性を減少させた修正バージョン(フェイク)を作成し、ネットで拡散することで選挙戦を有利に戦うことも可能になります。

相手に狙った負の特性を付与できれば、単なる不細工化アプリよりも、選挙戦では効果的かつ致命的な影響を与えることになるでしょう。

こうなると単なる政治家個人の嘘や見栄では済まされず、危険な人心操作・社会操作となります。

研究者たちは現在、開発された技術の特許を申請しているとのこと。

技術を独占・管理することで、危険な操作が起こるのを防ぐことができると述べています。

次の目標は「個人の好み」も組み込んだ第一印象予測AIを作ること

今回の研究で、人間と同じ第一印象を回答するAI(ニューラルネット)が開発されました。

開発された技術を使えば、自分の第一印象を客観的に知ることができます。

また既存の「美男美女」加工が特徴の中和を主に行っている一方で、新たな技術では望ましい特性を望んで付与できる「個性の追加」が可能になります。

なお余談ですが、今回の研究では、メガネと知的な印象の関係も調べられました。

自分ではわからない「自分の第一印象」を教えてくれるAIが登場!
(画像=Credit:Canva . ナゾロジー編集部,『ナゾロジー』より 引用)

すると興味深いことに、AI(ニューラルネット)もメガネをしている人間の第一印象に対して、より賢いと答えることが判明しました。

伝統的にメガネをかけると賢く見えると言われていましたが、どうやら第一印象に限っては、本当だったようです。

自分ではわからない「自分の第一印象」を教えてくれるAIが登場!
(画像=『ナゾロジー』より 引用)

研究者たちは次の目的として、特定の個人が他人の顔にどのように反応するかを予測できるAI(ニューラルネット)を開発していきたいと述べています。

今回の研究で開発されたAI(ニューラルネット)は大多数の人間の平均的な反応に焦点が合わせられています。

しかし人間には特定の顔の形状により惹かれるなど、好みが存在するため、多数派の反応が常に最適解を得られるわけではありません。

もし個人の第一印象を予測できるようになれば、企業面接の面接官やお見合い相手といった特定のターゲットに好ましい印象を与えるような個人レベルでの最適な印象操作が実現するでしょう。

恐ろしい話に聞こえますが、個人に焦点をあわせた第一印象の予測技術は、自分にとっての運命の人、あるいは一目ぼれしてしまう人を知ることにつながります。

それは、統計に依存しがちな社会心理学に血を通わせるキッカケになりかもしれません。


参考文献

This Algorithm Has Opinions About Your Face

元論文

Deep models of superficial face judgments


提供元・ナゾロジー

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