鳥のさえずりや木々が風になびいて揺れる音…。

自然界は「音」にあふれていますが、そんな音を聞いているのが動物だけではないことが明らかになりました。

新たな研究により、なんと花がハチなどの送粉者の音を聞いて、花の蜜を一時的に甘くしようと努めるていることが分かったのです。

研究の詳細は2018年12月28日付けで『bioRxiv』に公開されています。

目次
「低い周波数」で糖度が増加

「低い周波数」で糖度が増加

花はハチの音が聞こえると、一時的に「蜜を甘くしよう」とがんばる
(画像=マツヨイグサ / credit: pixabay,『ナゾロジー』より 引用)

テルアビブ大学の Lilach Hadany 氏率いる研究チームが研究対象としたのは、マツヨイグサ属に属する「 (Oenothera drummondii) 」と呼ばれる花。

その花は、風の音といったような無関係な音を切り離した上で、特定の周波数を発する「ハチの音」を聞き分けていたのです。

実験において、花は「無音」「4インチ(約10センチメートル)離れた場所からのミツバチの音」「コンピュータによって生成された低い周波数、中程度の周波数、高い周波数の音」といった5タイプの音にさらされました。

その結果、「無音」と「コンピュータによって生成された中程度の周波数、高い周波数の音」では、花の蜜の糖度に大きな増加はみられませんでした。

しかし、「ミツバチの音(0.2〜0.5キロヘルツ)」と、それに近い周波数である「コンピュータによって生成された低い周波数の音(0.05~1キロヘルツ)」の音を聞いたときに、花には驚くべき変化が表れました。

なんと、そうした音を流した3分以内に、もともと「12~17%」であった蜜の糖度が「20%」にまで増加していたのです。