【外装について】

1950年代に製造されたオリジナルモデルの佇まいをを再現したコンパクトなラウンドケース。ケースはベゼルとミドルケース、裏ブタで構成されており、3,8mmの小振りなサイズ感がアンティークウオッチを思わせる雰囲気を醸し出している。ケースとのバランスを考慮した小さめのリューズはネジ込み式に仕上げられており、アンティーク感を醸す佇まいながら10気圧(100m相当)防水を確保している点も嬉しいポイントだ。

印象的なのが鏡面仕上げを施したベゼルとサファイアクリスタル風防のフォルムだろう。ドーム形に仕上げたサファイアクリスタル風防と傾斜を付けて立体感を際立たせたベゼル。二つのパーツのフォルムを緻密に計算することで、ベゼルから風防にかけて、統一感のある美しい造形を実現している。

外装で特に目を引き付けるのが、 “ツイストラグ”だろう。名前が示すようにラグの先端がツイストしたように見えるのが特徴。実際にはラグの内側にファセット加工を施して鏡面仕上げに仕上げることで、視覚的にねじれを表現している(実際にはねじれていない)のだが、50年代のモデルを忠実に再現したアイコニックなデザインがマニア心をくすぐる。
【文字盤のデザインについて】

“スパイダー”の通称のもとになっているのが50年代オリジナルモデルから継承したユニークな文字盤デザインだ。文字盤中央に向けて放射情にインデックスを配置するのが一般的だが、このモデルは多面カットしたアプライド仕様のバーインデックスを縦に配置。視認性を高める工夫と思われるのだが、インデックスをケイ線で繋いだデザインが“クモの巣”を想起させることから、“スパイダー”の通称で呼ばれている。

経年変化した夜光を思わせるベージュのスーパールミノバが塗布されたドーフィン針、インデックスの内側に配置された立体的に夜光ドット、9時位置に配置された50年代当時のレトロなブランドロゴ、モデル名表記、良い意味で無骨さを感じさせる3時位置の日付け表示など、50年代のオリジナルモデルから継承されたディテールが実に魅力的だ。