現代ではさまざまなテクノロジーが私たちの飲料水の品質を支えています。

しかしポーランドでは、800万人分の水質管理を任されている貝がいることを知っていますか?

このシステムが今、シュールな見た目とともに海外で話題になっているようです。

目次
水が汚染されると身を守る習性を利用
なぜ貝なのか?

水が汚染されると身を守る習性を利用

一般的な淡水の二枚貝は通常、上下の貝殻の間を僅かに(2~3mm)開けていますが、水が化学物質や重金属などによって汚染されると、貝殻の隙間をギュッと閉じて身を守る習性があります。

今回のシステムは、この貝の習性を利用したものです。

首都ワルシャワに水を供給するメインポンプには、8匹の淡水生の二枚貝(イシガイ類)がセンサーと共に貼り付けられています。

貝に取り付けられたセンサーはメインポンプの制御システムと直接つながっており、貝が水を有毒だと判断して貝殻を閉じると、都市への給水が自動的に止まるというわけです。

しかし、なぜポーランド当局は、よりによって貝を選んだのでしょうか?

なぜ貝なのか?

ポーランドの「水質検査をする貝」は800万人の生活水を支えている
(画像=貝たちはメインポンプの水質を監視し続けている/Credit:gpw、『ナゾロジー』より引用)

ポーランド人が水質検査に貝を使おうとしたのは、もちろん単なる思いつきではありません。

貝(イシガイ類)はエサを水中からこし取る過程で、1時間に1.5リットルもの水をろ過する能力があるのです。

また上の飼育写真からもわかるように、水質検査に使われている貝は非常に綺麗な水に生息している種で、人間よりもはるかに有害物質に敏感です。

まさに貝は24時間、高精度で有害物質を探知する究極のバイオモニターだったのです。

ポーランドの「水質検査をする貝」は800万人の生活水を支えている
(画像=センサーが取り付けられる様子/Credit:vimeo.Fat_Kathy_trailer、『ナゾロジー』より引用)

なお、使用された貝は3カ月たつと、マーキングを施されて元々棲んでいた湖に返されます。

マーキングをするのは、科学者が誤って同じ貝を再び拾わないようにするためです。

イシガイ類は、最大で50年という長い寿命を持ち、繰り返しの使用は彼らの寿命を縮める可能性があるからです。