中古マンションを購入する際には、あと何年住むことができるのか、耐用年数は気になるものですよね。「法定耐用年数」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。今回は、マンションの耐用年数は何年くらいあり、法定耐用年数とはどういったものなか、リノベーションと耐用年数の関係も含めて解説していきます。

目次
マンションの法定耐用年数は47年
 ・法定耐用年数とは
法定耐用年数を超えた住宅ローンを組むのは難しい

マンションの法定耐用年数は47年

中古は損?マンションの法定耐用年数と資産価値の秘密
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

マンションの法定耐用年数は、「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造」の「住宅用のもの」に該当しますので、法定耐用年数は47年です。ただし、法定耐用年数はローン契約時の査定目安や税金の計算のために便宜上決められているもので、本来の「建物の寿命」とは異なることに注意しましょう。

国土交通省は2013年に建物の寿命について以下のようにまとめています。

・実態調査を行った結果、鉄筋コンクリート部分の耐久実態は50年以上あると認められた
・実際の建物の減耗度調査のうえ、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定
・鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造の構造体の耐用年数は、鉄筋を被覆するコンクリートの中世加速度から算定し中性化が終わったときをもって効用持続年数が尽きるものと考える。鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる)の耐用年数は120年、外装仕上により延命し耐用年数は150年。

出所: 期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について

法定耐用年数とは

法定耐用年数とは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」として決められたもので、税金を計算する時に減価償却費を算出するのに用いられるものです。資産の種類ごとに決められていて、建物の場合は「構造」と「用途」によって区分されています。

住宅における法定耐用年数は、構造や用途の違いによって変わります。

構造・用途耐用年数
木造・合成樹脂造のもの22年
木骨モルタル造のもの20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの47年
れんが造・石造・ブロック造のもの38年
金属造のもので、骨格材の肉厚が
4㎜を超えるもの
3㎜を超、4㎜以下のもの
3㎜以下のもの
38年
30年
22年

法定耐用年数を超えた住宅ローンを組むのは難しい

中古は損?マンションの法定耐用年数と資産価値の秘密
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

法定耐用年数と個々の建物における実際の寿命は異なるとはいえ、多くの金融機関では、法定耐用年数を経済的残存耐用年数と位置付けています。そのため、数年程度なら法定耐用年数を超えて借り入れができることもあるものの、一般的には法定耐用年数までの期間しか住宅ローンは借りられません。

また、法定耐用年数を超えて住宅ローンを借りることができたとしても、転売しようとする際には住宅ローンが借りづらい物件となっているため、売却しにくいことがデメリットとして考えられます。

しかしだからといって、新築を選んだ方がお得かというとそうではありません。新築の場合、買った直後から資産価値は下がっていくため、購入時からの資産の目減りが著しくあります。一方、築15~20年を過ぎた中古マンションであれば価格の下落は落ち着き、その後も一定の価格を推移します。

また、現在築20~30年の中古マンションは数多く存在しており、鉄筋コンクリート造であれば実際の耐用年数は100年を超えるとされていることに加え、政府が中古市場の流動性推進を掲げていることから、築古物件に対するマインド変化や法定耐用年数の見直しが行われる可能性もあります。これまでの日本はスクラップアンドビルドが常識でしたが、建物を長持ちさせる方向にシフトしているのです。

リノベーションをするのであれば新耐震に適合した鉄筋コンクリート造で、かつ管理がよく行き届いた物件を選ぶことが重要です。中古マンションを購入する際には、ローン契約もあるので法定耐用年数を意識することは大切ですが、実際に建物が長持ちするのかどうか、物件価格がどう推移するのかをよく見極めるようにしましょう。