フリーランスの大きなメリットのひとつとして、働く場所に縛られない点が挙げられます。仕事場を自由に選択できるからこそ、フリーランスの拠点は人によってさまざま。

フリーランスとして独立した際、事務所は自宅でよいのでしょうか? それとも自宅とは別に、事務所を借りるべきでしょうか?

この記事では、そんな事務所選びに悩んでいるフリーランスの方に向けて、「事務所を自宅にした場合」と「事務所を別に借りた場合」のメリット/デメリットを解説していきます。事業状況や資金力にマッチした事務所選びの参考になれば幸いです。

目次
フリーランスが自宅を事務所にするメリット
フリーランスが自宅を事務所にするデメリット

フリーランスが自宅を事務所にするメリット

メリット1. 事務所を借りるよりもコストを抑えられる

自宅を事務所とする場合、新たにオフィスを借りる必要がないため、コストが大幅に抑えられます。自宅を事務所とすれば、事務所の家賃や水道光熱費といった費用は自宅の分のみで済みます。

まだフリーランスとして独立したてで、まとまった資金が確保できていない方は、いきなり事務所を借りるよりも自宅を事務所代わりにする方が懸命でしょう。

メリット2. 通勤ラッシュ時の満員電車から解放される

自宅がそのまま事務所であれば、毎日の通勤から解放され、その分の時間を作業にあてられます。都心に住んでいる方は、電車ですし詰め状態になった経験のある方も多いのではないでしょうか? 朝や帰宅時の通勤ラッシュにあたってしまうと、家から会社までの移動だけで体力を奪われてしまいますよね……。

アメリカの世論調査会社ギャロップによると、通勤時間が長い人ほど幸福度は低くなるというデータも。自宅を事務所にしてしまえば、家から出る必要がなくなるため、ストレスなく仕事に打ち込めます。会社員時代に通勤時間が苦痛であったならば、自宅を事務所にするのがおすすめです。

メリット3. 自宅で発生した費用の一部を経費に計上できる

自宅と事務所が兼用の場合は、家賃や電気代などの家事関連費を、必要経費として計上できます。

ただ、家事関連費のすべてを経費として計上できるわけではなく、仕事に使っている割合を按分する作業が必要です。按分とは、家事関連費を個人用と仕事用とに区別することを指し、以下のような目安をもとに算出します。

  • 家賃:仕事で使っている床面積の割合
  • 電気代:使用時間またはコンセントの数
  • 電話代/インターネット料金:使用時間
  • 車の減価償却費/ガソリン費:走行距離または仕事に使った日数

このように家事関連費の一部を経費扱いできるため、大幅な節税に繋がります。

ただ、家事関連費の按分はプライベート/仕事で使用している割合を計算する手間が発生するというデメリットも。水道光熱費や通信費などの明細を記帳しておき、そこから決算書を作ることになるため、ある程度の時間が奪われることは覚悟しておきましょう。

メリット4. 家族との時間を大切にできる

自宅を事務所代わりにすれば、家族と一緒に居られる時間が長くなります。作業をするために自宅から出る必要がなくなるので、一緒にお昼ご飯を作って食べたりすることも可能です。

家族との時間を大切にしたいと考えているフリーランスは、事務所を自宅にすることをおすすめします。

フリーランスが自宅を事務所にするデメリット

デメリット1. 仕事とプライベートの境目があいまいになる

人が集中できる時間は、15分〜60分とされています。もし集中が切れたとき、自宅だとゲームや漫画の誘惑に負けてしまったり、眠ったりしてしまう可能性も。周りに仕事関係の人がいないからこそ、自分を律せられない人だと、どんどん生産性が落ちていってしまいます。

最近は新型コロナウイルスの影響もあり、半ば強制的に自宅からリモートワークになった人も多いでしょう。リモートワークをしてみた際に「生産性が落ちてしまった……」と感じるのであれば、自宅とは別に事務所を借りることをおすすめします。

またどうしても仕事に集中できない人は、ポモドーロ・テクニックを使うこともおすすめします。

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デメリット2. 自宅にクライアントを呼びづらい

家族がいるフリーランスの場合、クライアントとの打ち合わせを自宅(事務所)で行いづらいというデメリットがあります。打ち合わせを自宅で行う際には、自分とクライアントの予定だけでなく、家族の予定も考慮しなければいけません。

また小さいお子さんがいるご家庭の場合は「打ち合わせ中に子どもが泣き出して、クライアントを困らせてしまわないか……」と心配になることも。時間を問わず安心してクライアントとやりとりをしたい場合は、自宅を事務所にすることは避けた方がよいでしょう。

デメリット3. プライバシーの管理がむずかしい

自宅を事務所とする場合、名刺やホームページに住所を記載するケースも多いでしょう。しかし自宅の場所を不特定多数の人に見られてしまうことに繋がるため、プライバシーの面で不安があります。

かと言って名刺やホームページに住所を記載しなければ、郵便物が送られてこなかったり、信用度が下がったりするケースも。プライバシー面で心配なフリーランスは、自宅とは別に事務所を借りるのがおすすめです。

デメリット4. クライアントからの信用を獲得しにくい

自宅と事務所が同一の場合、別に事務所を構えている場合よりも、クライアントからの信用を得にくいというデメリットがあります。

リモートワークという働き方が浸透してきた現在でも、都心の一等地を借りている事業者と比べて、自宅を事務所としているフリーランスの信用は低いのが現状です。とくに大手企業との取引を考えている場合は、相手の信用を勝ち取るために事務所を借りるケースが多いです。

一方で、個人間の取引やECを中心としたビジネスを展開しているフリーランスは、自宅と事務所が同じでも信用面ではそこまで問題ないでしょう。取引先の規模や業種によって判断するのが望ましいです。

デメリット5. 賃貸の管理会社に禁止されているケースも

居住向け賃貸物件は、そもそも事業用として使用することが禁止されている場合が多いです。もしも内緒で事務所として使用した場合は契約違反となり、退去を命じられるケースも……。

完全フルリモートで仕事をする場合はほとんど問題ありませんが、自宅にクライアントやお客さんを頻繁に呼ぶ方は注意が必要です。自宅をオフィスとして利用する場合は、念のため管理会社に確認しておきましょう。