プーチン氏の健康不安説がここにきて再び話題に上がってきています。パーキンソン病を隠しているといった内容ですが、一部の記者から2月よりはるかに調子が悪そうだ、といった声も上がっています。今回の戦争でも防御側のウクライナからは盛んにメッセージが発せられますが、ロシア側のメッセージは限定的。普通の人間ならこれだけのことを引き起すなかで平静でいられること自体があり得ないこと。心労やストレスも尋常ではないでしょう。これがプーチン政権末期のサインなのか、真相はいずれ判明するはずです。
では今週のつぶやきをお送りします。
NY市場の嫌な下落
金曜日のNY市場は総弱気でダウは一時1000㌦を超える下げとなりました。そもそもの引き金は21日のパウエル議長の「利上げ幅0.5%も検討の対象」という発言です。そもそも市場は次回のFOMCでの0.50%の引き上げは100%織り込み済みで何も驚くべき内容ではないのですが、FRBの姿勢に「お主、本気か」と思わせたことで年内あと2.25%の利上げが現実味を帯び、おののいているというのが真意だとみています。
折しも1-3月の決算が発表になりつつありますが、今のところはまだら色。私は10-12月期に比べ、見劣りする企業が相当増えるのと今期の見通しの下方修正が相次ぐだろうと申し上げてきました。つまり、そもそもが買われ過ぎた株価で将来の期待分が剥離しつつあるというのが今起きていることだと思います。チャート的には醜く、これは日本の株式市場への影響も必至でしょう。ただ、黒田総裁はNYの講演で緩和姿勢を崩さないといっているので日本の株式市場が売られる論理性もないはずです。
とすれば0.50%の利上げを織り込んでいたNY市場の下げも金融市場緩和継続なのに軟弱地盤の日本市場も結局、一旦利食いする弱気の心理的要素が大きいというのが最もあり得る説明になります。こういう状況ではふとしたことから市場は反転します。来週になるとFRBの高官はFOMC前のコメント禁止期間に入りますのでむしろより創造力逞しく、やれ中国経済が失速しそうだ、アメリカにはスタグフレーションがやってくる、ロシアはまだまだ戦争を止めそうにない、などいった物語が展開されそうです。やれやれ、です。
あぁ、吉野家
吉野家のマーケティング担当だった常務が早稲田大学の講座で本人はノリでわかりやすい例えで言ったつもりが、珍妙というかそれこそ誰にでもわかるマーケティング的に極めて即効性のある大炎上発言を行いました。ご本人のマーケティング能力がいかに優れているか、そしてどれだけ簡単に社会がそれに反応し、作り上げた氏のキャリアが音を立てて崩れ落ちるか、カラダを張って示してくれました。
日経には「吉野家に『マーケティング』は要らない」という編集委員記事があります。要は今、流行りのナラティブ(物語)マーケティングが同社には存在しており、それに対していかにも論理的で大企業が好みそうなマーケティング手法は必要なかったのではないか、というものです。この話を聞いて思い出したのが、カレン・フェラン著の「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です」という書籍で彼女はMITの大学院卒業後、一流の会計事務所で戦略的マーケティングを企業向けに提案していたのに、そんな学術的なことが企業経営を動かすわけでないことを悟るという書籍です。発刊当時(2014年)に衝撃を与えた書籍で、私も強い印象に残っています。
マーケティングには様々なアプローチがあります。決して一様ではなく、それこそ無限の広がりがあるとみています。例えばイーロンマスク氏は歩くマーケッターだと思うし、SNSの駆使の仕方でも上手な会社、機能しない会社、様々だと思います。日本はほぼ単一民族故、ヒットするととことんヒットしやすい傾向がありますが、海外では特定セグメントにしか受けない、つまり「万人受け」などという言葉は原則ありません。そんな中、吉野家は万人が知っていて、誰でも一度は口にしたことがあり、それぞれに思い出や日々の生活に溶け込んだストーリーが確かにあると思います。米国産の特定部位の牛肉へのこだわりこそが同社の最大のマーケティングであることは疑いようがなく、自信をもって事業を進めればよいと思っています。