【外装について】

このモデルの最大の特徴のひとつと言えるのが、ソリッドで重厚感のある変形オーバルケースだろう。一般的なオーバルケースは、オーバル(卵)という名前が示すようにカーブを備えた卵形だが、このモデルでは3時位置と9時位置に角を設けた六角形のフォルムを採用。表面をフラット、サイドは二段階でファセット面を備えた多面的な造形に仕上げられており、規則的に細かい筋目を施すヘアライン仕上げにより、立体的なケースフォルムと金属的な重厚感がクローズアップされている。

表面をフラットに仕立ててヘアライン仕上げを施した直線的なケースと、立体的なドーム形のサファイアクリスタル風防。直線と曲線を巧みに組み合わせがことで、立体的で奥行き感を感じさせるデザインとなっている。

ブレスレットはラグジュアリースポーツウオッチのデザインを思わせるケース一体型のデザインを採用。ケースと同じく蛇のウロコを思わせる六角形のフォルムを取り入れており、横長の六角形に仕上げた中コマを左右の小さいコマで挟み込むユニークナデザインに仕上げられている。一見すると個性的で着けにくそうな印象だが、フォルム、仕上げの両面でケースの造形とデザインを統一しているため、ユニークだが全体のデザインバランスは良好。外装の仕上げをヘアラインで統一したのもポイントと言えるだろう。
【文字盤のデザインについて】

文字盤の中央部分を大胆にくり抜いて、搭載している自動巻きムーヴメントをデザインのアイコンとして際立たせたフルスケルトン文字盤。規則的なテンプに動き、小さなパーツを組み合わせた機械式ならではのメカニカルな造形が高級感を感じさせる。
フルスケルトン文字盤はデザインによっては時間が見にくいことも多いが、このモデルは外周にリングを設けてアプライドのインデックスを配置しているので、視認性も良好。ロベルト カヴァリ バイ フランク ミュラーのアイコンデザインのひとつである“蛇のウロコ”を思わせる幾何学的なエンボスデザインをアワーリングの表面に施しており、凹凸の陰影がデザインのアクセントと立体感を高めている。