なぜ鉄粉などが漂うのか?
透明に見える空気の中に、本当に鉄が含まれているの?と思うかもしれませんが、答えはYESです。
そもそも空気というのは意外と透明ではなく、様々な物質が含まれてほんのり色づいています。2011年の東日本大震災の時も、本震や余震後の数日間、空が茶色く濁ったような色をしていました。そこまでいかないまでも常に舞い上げられた何かが空気中を漂っているのです。
そんな鉄粉の出所はたくさんあります。建設現場や鉄工所、工場などでは溶接の火花とともに出る煙に、大量の鉄粉が混ざっており、鉄道のレールと車輪のように鉄同士の摩擦が激しく起きるような場所からも鉄粉が巻き起こります。
自分の愛車に鉄粉が食い込むからといって、車以外の何かが原因とは限りません。自動車にもブレーキパッドの材質には鉄粉が含まれているため、ブレーキローターとの摩擦で大量の鉄粉を巻き起こしています。タイヤホイールの内側に黒い汚れがつく原因は、ほぼ車の鉄粉と考えて良いでしょう。
鉄粉が食い込むとどうなる?
このように巻き上がった鉄粉の中を車で高速に突っ切ると、硬い鉄粉は全てが弾かれずに車の柔らかい塗装面に食い込みます。塗膜が厚い車なら問題ありませんが、薄い車ではその段階で一気に下地の鉄まで食い込んでしまうケースもあります。
そうなると、雨天時などに鉄は酸化し錆びて膨らんでいきます。そして塗膜の中で広がり、ボディの鉄と接触してさらに錆を広げていってしまう事もあるのです。最後はその食い込んだ鉄粉を元にボディ外板の裏側まで錆が侵食し、穴が開いてしまう事も。
「堤防はアリの一穴で崩れる」といいますが、ボディ表面に食い込んだ微細な鉄粉にも、それだけの威力があるので気をつけなければなりません。