電話でのコミュニケーションは難しい
「電話は気楽に使える。伝わりやすい」と勘違いしている人がいる。だが、そんなことはない。電話によるコミュニケーションは難しいんだ。
特にビジネスコミュニケーションにおいて、電話はメールなどより遥かに難易度が高い。「自分はこれを伝えたい。相手のこういう部分の意図を知りたい」というやり取りを音声でするわけだが、その実電話というのは即興のプレゼンテーションと同じだ。プレゼンテーションをするには伝えたいテーマに集中し、些末な情報を削ぎ落とし、相手に届けるスキルのことだ。準備なくいきなりかかってきた電話でそれを期待できるのは、よほど話しなれた人にしかムリだろう。
「書くの面倒だから電話しちゃったw」と、気軽に電話してくる「自称おしゃべり好き」な人と話すと「句読点」が存在しないことに気づく。ひたすら「。」までが長い。そして余計な情報が多すぎ、テーマがあっちこっち移動するので、集中して話を聞いても、相手が何を言いたいのかサッパリ分からないことがある。ストレスマッハで黒髪が白髪になりそう…。
円滑な電話コミュニケーションが実現できるのは、言語の運用スキルが高い人だけだ。「メールで伝える自信がないから電話」という人は勘違いしている。文章を推敲できるメールでできないことを、電話でできるわけがないのよ。
電話をかけていい人、ダメな人
でも電話をかけていい人はいる。それは時給がメチャメチャ高い人だ。
時給が高い人、たとえば高額所得者は時間が命だ。1秒でも早く相手に意図を伝える、という場面においてはメールより電話が早いことがある。その場合は、秘書や部下に指示を出す場合においては、電話の使用は認められる経済的合理性が存在する。けど、その逆はあってはならない。アルバイト社員が、社長に電話をかけて大変高額な社長の時間を使ってはいけないということだ。
だが、多くの場合は対等な関係であることが多い。取引先との打ち合わせなどは、電話の打ち合わせの必要性が生じたら、アポを取ってお互いの都合の良いタイミングで通話をする必然性はあると思う。