新型コロナウイルスの影響もあり、今やオンライン上でのコミュニケーションは当たり前になりました。

では、オンライン上でスムーズに人間関係を構築するにはどうすればよいでしょうか?

東京都市大学・未来都市研究機構 [VR×社会的交流の場の創生]研究ユニットに所属する市野 順子教授ら研究チームは、一般的なビデオチャットよりも、自分に似ていないVRアバターを使用して会話した方が自己開示を促すと報告しました。

自分をあえて連想させない姿の方が、素の自分をさらけ出しやすく、人間関係の構築に役立つというのです。

研究の詳細は、2022年4月12日付の東京都市大学のプレスリリースにて発表されました。

また情報処理学会が主催する「インタラクション2022」にて、論文賞候補に選ばれています。

目次
素の自分をさらけ出す「自己開示」

素の自分をさらけ出す「自己開示」

良好な人間関係を築くには、双方の「自己開示」が欠かせません。

自己開示とは、自分に関するプライベートな情報を相手に伝えることを言います。

自分の意見や生い立ち、好みなどを話すのです。

これには自分の弱点や悩み、過去の失敗を正直に話すことも含まれます。

つまり自己開示のポイントは、自分を大きく見せるのではなく、等身大の情報を伝えることだと言えます。

確かに、自分の弱みを正直に打ち明けてくれるなら、こちらも相手を信頼し、心を開きやすくなるでしょう。

自分に似ていないVRアバターが一番「素の自分」をさらけ出すと判明
(画像=自己開示は人間関係の構築に役立つ / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

逆に、「本心を話してくれない」「いつも自分を大きく見せようとする」相手とは仲良くなりたいと思いませんね。

また、一方が自己開示したときに、もう一方も促されて自己開示することがあります。

「互いに自己開示する」ことは、関係構築において相乗効果が期待でき、これも自己開示を行うメリットの1つだと言えます。

では、近年一般化しているオンライン上のコミュニケーションにおいて、自己開示をどのように促せるでしょうか?

研究チームは、この点を明らかにするため、VRアバターを用いた比較実験を行いました。