こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
ある日、急ぎの仕事を納品した後、思いつきでセミリタイヤ生活を体験しようと思い立った。とはいっても数カ月間単位の長期スパンで、高級ホテルに宿泊して酒池肉林…というレベルのバカンスを楽しんだわけでない。試しに10日間程、毎日ダラダラとゲームと漫画、映画三昧で過ごしただけだ。これまで1分1秒を惜しんで毎日をムダにせず過ごしてきたので、久しぶりに「本気で休息」をしてみたのだ。

筆者は労働集約的だけでなく、仕組みでまわすビジネスも持っている。ミニマム生活なので、生活費やビジネスの支出は極めて小さい。その気になればセミリタイヤができる立場であるので、思いつきでやってみたのだ。が、体験してみて良かった。「セミリタイヤで悠々自適」なんて理想に過ぎないということが骨身にしみて理解できたからだ。
当初は「納得するまで1ヶ月、2ヶ月やってみようかな」と思ったが、途中で飽きてしまい早々にやめた。ほとんどの人にとって、忙しくあれこれ頑張って生きることが一番の幸せだろうなと理解できたからだ。
※この記事で筆者が言う「働く」というのは「会社に務める」ことに限定していない。主婦が子育てや家事に勤しんで快適な空間を作るのに努力することも指しているのでそのつもりで。
何もしなくても時は残酷に過ぎていく
とある掲示板に「大学を出て無職のまま60歳を迎えた」という書き込みを見たことがある。匿名掲示板なので真偽の程は分からない。だが、書き込みを見ているとウソではなさそうだ。想像を外さず、書き込み主は人生に激しく後悔をしていた。
「大卒後、毎日食べて寝て過ごしたら、いつの間にか60歳になっていた」
と自分の人生をたった1行で表現できてしまう空虚さに、心底打ちのめされていたようだった。
筆者はこれを見た時、「ああ、今やっているこのダラけた生活の先にあるのは、きっとこれと同じ末路だろうな」と理解した。
成長や有益、周囲の幸福につながることを何もしなくても、時は無情に過ぎていく。人生のエレベーターにボーッと乗ったまま時を過ごしても、その後に残るものはなにもない。後に残るのは頬と心に細かく刻まれたシワだけだ。
人類に最大の敵は「ヒマ」
数々の脅威を人類は知恵と叡智で切り開いてきた。昨今のコロナウイルスとて、永久に克服できない相手ではないだろう。ウイルスの存在自体認識できなかった時代の疫病さえも、人体の免疫機能と生命体としての多様性によって常に打ち勝ってきたのだ。人類の最大の脅威はウイルスや、核兵器ではないのだ。
有志以降未だに克服できず、迫りくる脅威は「ヒマ」である。過去に個人ブログ記事「やることがなくて苦しむ中年が人生を楽しむ方法」でも少し語ったが、筆者も過去にヒマには随分苦しめられてきた。

「労働や哲学はヒマ克服の手段として生まれた」と主張する専門家もいる。今では労働や哲学的思考は「生きる上での手段」になってしまったが、近くベーシックインカムやAIの進展により、もしかしたら「生きる手段」から「ヒマを克服する手段」へと回帰する未来がやってくるかもしれない。
そうなるとこの可視化されづらい「ヒマ」という脅威に、苦しむ人が出てくるのではないかと思っている。