依然として高いプーチン大統領のロシア国内での支持率
ABC INTERNACIONAL(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

ロシアではプーチン大統領の支持者は今も多くいる

モスクワのカザン駅の近くのスーパーマーケットを出たばかりの50歳くらいの女性にウクライナへのロシア軍の侵攻について「ABC」の駐在記者が尋ねると、その女性は「あなたは誰? 何のためにそのような質問をするのか」と逆に尋ねて来て、それ以上語ることなくその場を即座に去って行ったそうだ。今度は二十歳くらいの青年に同じことを質問すると「私がそのようなことを知るわけがない」とぶっきらぼうに答えたそうだ。

次に60歳くらいに身なりの良い人に取材記者であることを明らかにすると、彼は「私はプーチンを支持している。もうかなり以前からゼレンスキーとその子分らナチスの徒党でテロリストに対して今やっているような措置が必要だったのだ」と答えた。そしてロシアの安全にウクライナがどれほどの脅威になっているのか説明を求めると、彼は「もう知っているだろう。8年前からウクライナの親ロシア派の住民に戦争を仕掛け、それ以来ドンバスを攻撃することを彼らは止めないでいるのだ」と語ったという。

ウクライナのネオナチスの存在

このプーチン支持者が8年前からドンバスに戦争を仕掛けているという指摘について説明しておく必要がある。

それには当初米国の存在が影響している。2014年に親ロシア派のヤヌコビッチ大統領がロシアに亡命して以来、新政府はドンバス地方でスラブに関係したものはすべて禁止した。ウクライナ人は旧ソ連を形成していた関係もありウクライナ語とロシア語は日常生活の中で使用されている。ところが新政府はロシア語を使用することを禁止した。ドンバス地方ではロシア語が一般に使われていることから、この政府の措置に反対した。ドンバス地方のドネツクとルガンスクには自治制の導入を要求した。当初それはあくまで自治制の導入であって独立を主張するものではなかった。

それに対してキエフの政府はナシオナリスタスと呼ばれている傭兵をドンバス地方に派遣して親ロシア派の住民を弾圧して行ったのである。彼らはスカンジナビアやドイツの出身者でネオナチスと呼ばれており、スラブ系を嫌悪している傭兵集団である。彼ら傭兵はおよそ10万人でウクライナ軍の3分の1を形成している。

今回のロシア侵攻前までに彼らネオナチスと呼ばれている傭兵は親ロシア派の戦闘員や住民1万4000人が殺害したという。ロシア側の調査では2万2000人としている。

そこでは2015年にロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスがまとめたミンスク停戦合意は全く尊重されていなかったということである。

これまでプーチン大統領が今回のウクライナ侵攻で盛んに指摘していたナチスの駆逐というのは正に彼らネオナチスを指すものである。

ロシア独立系世論調査機関レバダのデニス・ボルコフ所長が指摘しているのは、ロシア人の半数以上がプーチン大統領を依然支持しているということだ。

ロシアではプーチン大統領はネオナチスを撲滅させるために爆撃しているのだという情報を公的情報機関が流しているからだ。それに対してロシアの侵攻による爆撃だという情報を流す独立系のテレビ局や紙面は政府によって弾圧され、報道できないようにさせられている。