イタリアらしくデザインで勝負!
誤解を恐れずに書くならば、EVの加速や乗り味で明確な個性を出すのは、正直難しいと思う。自動車の進化を各社が競った結果招いたのは画一化で、それに拍車をかけるのが電動化だ。特にエンジンを含めたエモーショナルな部分で勝負してきたイタリア車にとって、電動化はなかなかの高い壁のように見える。
しかしフィアット500は、イタリアもうひとつの武器である、デザインで勝負をかけてきた。ボンネット側にも半分仕込んだヘッドライト、光の加減でピンクにも見える三層パールのセレスティアル・ブルーのボディカラー、先にも挙げた内装の数々。見れば見るほど、このデザインだけでも買う価値あり! と思わせるのだ。
確かにEVであるから価格もPopの450万円~Openの495万円と、65万円とされる補助金の分を差し引いても、2代目の236万円~300万円からは随分とクラスアップした位置にあり、航続可能距離は最大335kmとなるので街乗り中心……と考えていくと、初代ヌォーヴァ500のような国民車というよりは、ランチアのようなラグジュアリーコンパクトカーと捉えるのが正解だろう。
だからこそのオトナっぽいデザインであり、だからこその上質な乗り味だ。発表された時にブルガリやジョルジオ・アルマーニとのコラボレーションモデルがあったのは、このキャラクター、位置づけを象徴するものと言える。
果たして2代目のユーザーはこれをベースとしたマイルドハイブリッドの追加でカバーしていくのか、あるいは次期フィアット・パンダがカバーしていくのか、あるいは……といったところで正解まではまだ時間がかかりそうだが、個人的にはステランティス・グループという大所帯の中で、フィアットの未来を表現するイメージリーダーカーとして今回の500eはいい落としどころに感じる。
蛇足ながらランチア・オーナーである筆者は、フィアット500eの落ち着いたデザインと色遣いにすっかり魅せられてしまい、リースとサブスクリプションのみとなる購入方法で、果たして月の負担が実際にいくらになるのか、気になって仕方がないのであった。
*こちらはPopのディテール
*こちらはOpenのディテール
【Specification】500e Pop
■全長×全幅×全高=3630×1685×1530mm
■ホイールベース=2320mm
■トレッド(F:R)=1470/1460mm
■車両重量=1320kg
■フロントモーター=交流同期電動機
■定格出力=43.0kW
■最高出力=118ps(87kW)/4000rpm
■最大トルク=220Nm/2000rpm
■一充電走行距離(WLTCモード)=335km
■交流電力消費率(WLTCモード)=128Wh/km
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=ディスク:ドラム
■タイヤサイズ(F&R)=195/55R16
■車両本体価格(税込)=4,500,000円
【Specification】500e Open
■全長×全幅×全高=3630×1685×1530mm
■ホイールベース=2320mm
■トレッド(F:R)=1470/1460mm
■車両重量=1360kg
■フロントモーター=交流同期電動機
■定格出力=43.0kW
■最高出力=118ps(87kW)/4000rpm
■最大トルク=220Nm/2000rpm
■一充電走行距離(WLTCモード)=335km
■交流電力消費率(WLTCモード)=128Wh/km
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=ディスク:ドラム
■タイヤサイズ(F&R)=205/45R17
■車両本体価格(税込)=4,950,000円
文・平井大介/提供元・CARSMEET WEB
【関連記事】
・【比較試乗】「フォルクスワーゲン TロックTDI Style Design Package vs TDI Sport vs TDI R-Line」アナタならどのT-ROCを選ぶ?
・「キャデラック XT4」ジャーマンスリーをロックオン! プレミアムコンパクトSUVの大本命!【試乗記】
・【インタビュー】このプロジェクトを通して日本のモータースポーツをもっと元気にしたい!「ARTAプロジェクトプロデューサー・鈴木 亜久里」
・【国内試乗】「ホンダ N-ONE」見た目は変わらずも中身は大幅に進化
・【国内試乗】「レクサス・ニューLS」徹底的な作りこみを施した常にイノベーションを追求するフラッグシップ