目次
宿泊施設療養の流れ
抗体カクテル療法(中和抗体薬治療)の流れ

宿泊施設療養の流れ

新型コロナウイルス感染が判明し、無症状、軽症の患者は「自宅療養」か「宿泊施設療養」の2つの選択肢がある。私は家庭内感染を防ぎたかったので、宿泊施設療養を希望。宿泊療養に関する費用(宿泊、食事)は自己負担無し(ありがたかった)。

以下、宿泊施設療養の流れです

4月5日(火)朝10時、迎えの車が自宅に到着。車はタクシーで、ドライバーさんは防護服ではない。運転席との間にはビニールの仕切りあり。相乗りで、ホテルまで行く間にもう一名乗車された。

自宅からホテルまで直行。コンビニで買い物などはできない。ホテル到着時は、駐車場入口に6~7名の誘導スタッフが立ち、一般の通行者と私たち感染者が交錯しないよう、厳重に通路を確保。

ホテル館内に入ったら、ロビーに名前が書かれたA4サイズの封筒とルームキーが置いてあり、自身でピックアップし、そのまま入室。スタッフとの接触は無し。部屋に入ったら、体温、酸素飽和度(パルスオキシメーター)を測定。事務局から電話で施設内の案内があり、その後、看護師さんから電話で体調管理に関する案内あり。説明内容はかなりボリュームがある。説明は丁寧で、資料をじっくり読めば理解できるが、初めての経験なので、ちょっとあたふたする。高齢者は大変かも。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

<療養した部屋>

部屋はベッドとテーブルがあるだけのシングルルーム。バスタブはなくシャワーだけだったが滞在は快適。

施設内では、事務局スタッフや看護師さんとのやりとりは基本電話で、直接会うことは無し。ホテル内では朝昼晩の食事(すべて弁当)をロビーに取りにいく時(1時間内で受取と返却)だけ部屋から出ることができる。ゴミ出しも同時間帯に行う。それ以外はずっと部屋の中で過ごす。外出や面会も禁止。これが退所まで続く。家族からの差し入れを受けることはできる(なま物はダメ。直接受け渡しも不可)デリバリーや通販もダメ。

体調管理は、体温と酸素飽和度測定を1日2回(7時と15時半)行い、スマホで送信。測定時間には「時間ですので測定してください」と館内放送が流れる。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

<酸素飽和度を図るパルスオキシメーター(左)と体温計>

看護師さんから必要に応じて個別に連絡が来る。こちらから質問や依頼事があれば、内線で事務局に連絡を入れることも可能。

部屋には掃除は来ない。スタッフの立ち入りも緊急時以外は無し。ロビーに枕カバーや歯ブラシ、髭剃り、コーヒー、紅茶、水、お茶、トイレットペーパー、ティッシュ、スリッパなど置いてあり、必要な分だけ持っていける(但し弁当ピックアップの時間帯のみ)。弁当ピックアップ時間帯は集中し、エレベーターやロビーには他の人(感染者)と交錯する。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

お水とお茶、野菜ジュース(真ん中)は好きなだけ持っていって良い。弁当が続いて野菜不足になるので、野菜ジュースはとてもありがたかった。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

2週間分の弁当メニューが張り出されている。複数のお弁当会社と契約しているようだった。

お弁当は電子レンジで温められるが、台数に限りがあり、順番待ちすることも。電子レンジはロビーに3台、各フロアに1台づつ置いてある。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

手前のビニール袋が弁当。ロビー階には電子レンジが3台。スタッフ手作りの桜の木の心遣いが嬉しい。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

各フロアに血圧計、電子レンジが常設。血圧は入所時に一度計測したが、それ以降は任意(報告義務は一度だけ)。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

各フロアに常設の消毒液とコロコロクリーナー。部屋に清掃が入らないので、このコロコロはとても重宝した。

ホテル療養期間はどれくらいなのか?

症状によるが、平均的には入所期間は5日間くらいだそう。私は4月5日に入所し、9日に退所の5日間。

療養施設の退所基準は「発症(不明の場合はPCR陽性判明時)から10日間療養、且つ症状が回復して72時間経過後、というのが目安。※PCR検査が陰性になったら退所ではない。

症状が現れた直前直後が一番ウイルス量が多い。(発症の2日前から他者に感染させる可能性がある)感染して7~10日経つとウイルスは急激に弱体化し、他者へ感染させるほどの力は無くなることから、この退所基準が定められている。

施設内では「会話は控えるように」と案内があり、基本無言。その為、館内はとても静か。みな淡々と弁当や必要なものをピックアップして部屋に戻る(これが孤独感を増長する)私が入所していた時期(4月初旬)の入所者は若い年代(20代)が多い印象。

部屋内はWi-Fi使用可。湯沸かしポットは部屋にあり。シャンプーリンス、ボディシャンプーも部屋にあり。タオルは無く、自宅から要持参。パジャマも要持参(後述)。

弁当はまずまずの味(自己負担無しなので文句言ったらバチが当たる)。弁当が続くのでどうしても野菜不足になりがち。少しでも野菜の入ったメニューに、という気持ちも見えてありがたかったが、敢えて言うならば日によって朝から揚げ物とかヘビーな物が入っていたりして、食欲がない人には厳しいかも。また味噌汁やスープの素なども付いていればありがたかった(施設により、提供物は変わってくるらしい。)

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

<お昼の弁当の一例>

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

<夜の弁当の一例>

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

<朝の弁当の一例・・・朝からこれはちょっとヘビー・・・味は美味しかったが。日によって朝はサンドイッチの場合も>

抗体カクテル療法(中和抗体薬治療)の流れ

4月5日に入所した夜、看護師さんより電話あり。「抗体カクテル療法を受けてはいかがですか?」

抗体カクテル療法は、コロナの治療薬ではなく、重症化を防ぐ薬。希望者は誰でも受けられるわけではない。また受ける受けないは患者が決められる。

抗体カクテル薬投与の対象:以下の「重症化リスク因子」をひとつ以上有する患者

  • 55歳以上
  • 肥満
  • うっ血性心不全
  • 中等症から重症の喘息
  • 薬物治療を要する糖尿病
  • 慢性腎臓病
  • 慢性閉塞性肺疾患

私は年齢が対象に入った。治療方法は点滴による静脈内投与を30分かけて1回行う。投与場所は、ホテルではなく、特設の「酸素・医療提供ステーション」にて受ける。費用の自己負担は無し。

ホテルから車(相乗り)で施設へ搬送され、1泊2日で行われる。朝10時にホテル出発、約30分で到着。昼食後、体温、血圧測定、医師からTV電話で説明を受ける。この時点でも投与を辞めることはできる。

14時から30分点滴を行い、その後約1時間半、心電図を着けて体調に異変がないかチェック。その後は自由時間。夕食、21時就寝。朝7時頃起床。体温等測定後、朝食。9時15分、迎えの車でホテルへ戻る。

酸素飽和度測定器を常時装着。体温と血圧は合計5回くらい受ける。滞在中の計測データは今後の医療に使用されると思われる。

施設は病院ではなく、仮設施設にて行われる。医師と看護師が24時間体制で常駐。1人1台ベッドが与えられパーティションで仕切られている。

新型コロナウイルスに感染してしまいました。「宿泊療養」「抗体カクテル療法」 体験記
(画像=『たびこふれ』より引用)

<抗体カクテル療法施設>

1泊とはいえ、時間を持て余す。宿泊療養施設の滞在が如何に快適かを痛感する。食事(弁当)も提供され自己負担無し。何もすることがないので、本、スマホ、ポケットWi-Fi等を持っていくことを強くおすすすめしたい(後述)。

今回は、4名が同ホテルから参加。会話は控え、終始無言。看護師さんは防護服は着ているものの、気さくでフレンドリーで、これが気分的にとても救われた。