目次
星の寿命は何によって決まるのか?
星の最期は3つ。実はほとんどは爆発しない!?
星の寿命は何によって決まるのか?
星を見ていると、さまざまな色の違いがあります。
筆者は子どもの頃、星は年をとるにつれて青から赤くなっていき、青い星は温度が高くて若く、赤い星は温度が低いと知りました。よって、赤い星を見ると、残りの寿命が短いんだな…と思っていました。
でも、そもそも星によって元から持っている寿命の長さは違い、一概にそうとは言えないのです。
星はガスが重力で集まって形成されます。中心に向かってガスがどんどん集まるいっぽう、ガスの圧力は外側に向かい、両者が釣り合うために球形を保ちます。
つまり、重い星ほど大きな重力エネルギーを持つために熱エネルギーも大きくなり、明るい星になるというわけです。
そして、星はどれくらいのガスが集まって星になったか(質量)によって、寿命が異なります。
重い星:高温で明るく、寿命が短い
軽い星:低温で暗く、寿命は長い
具体的に言うと、質量が太陽くらいの星の寿命は100億年。それが、太陽の10分の1くらいの質量だと1兆年と長生きに、太陽の10倍くらいの質量だと1000万年ほどの短命になるのだとか。
一気にばっと燃え上がるか、じわじわと時間をかけて燃えていくか。星でも燃費について考えることになるとは…。
星の最期は3つ。実はほとんどは爆発しない!?
冒頭に述べたように、星の最期は必ずしも「赤く大きく膨らんで最終的には爆発してしまう」赤色巨星から超新星爆発の道をたどるわけではありません。恒星のうち97%は爆発せず、白色矮星になると言われています。
質量が小さい星の場合
核融合反応で、水素→ヘリウム→酸素・炭素と元素が作られますが、まず中心にヘリウムがたまって周りの水素が核融合をしてエネルギーを出し、星の外側が膨らみます。これが赤色巨星の状態で、ベテルギウスもその1つ。
外側は膨らみ続け、中心には炭素と酸素の塊ができ、周りのガスは宇宙空間に流出。このガスが照らされると、惑星状星雲が作られます。こと座にあるリング星雲が有名ですね。芯の部分は「星の死骸」とたとえられる白色矮星と呼ばれます。
質量が大きい星の場合
重い星になるほど、核融合反応が進んで重い元素が作られます。そして最期に超新星爆発が起こり、吹き飛ばされたガスが星雲を形成します。平安時代の記録にも残されている超新星爆発の名残、かに星雲が有名ですね。
芯の部分は天体として形を保てる場合は中性子星になりますが、限界の質量を超えてしまうと、重力が重すぎて対抗できる圧力がなく、ブラックホールになると考えられています。
ブラックホールといえば、電波望遠鏡の記事で取り上げたように、昨年はじめて撮影が成功して話題になりましたよね。
一度は見てみたいものですが、遭遇する確率は極めて低い超新星爆発。
でも、明るさの変化や色の違い、生まれたての姿の星団や最期がしのばれる星雲など、それぞれに星の人生のワンシーンが見られ、一生の移り変わりを想像することができます。
冬は空気が澄んでいるうえに明るい星が多く、天体観測に適したシーズンです。星の一生を感じる、そんな新しい観測はいかがでしょうか。
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功