動作はシンプルであるが、マシンの種類が多く、また的確に効かせるのが意外と難しいのが腕のトレーニング。今回は力こぶを形成する上腕二頭筋、そしてアウトラインをつくる上でも重要な上腕三頭筋、それぞれのマシンの使いこなし術を解説する。
取材:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩 イラスト:JUNKO
筋肉の構造、動作を知る
マシンのトレーニング、特に腕のマシンでは足が床につかないものもあるため、座り方が重要になってきます。IRONMAN誌「トレーニングアップデート術」でも解説してきたとおり、骨盤の傾きによって対象筋が変わり、また股関節のポジションによっても身体全体の使い方が変わってくるので注意が必要です。
さらに、自分で軌道をコントロールする必要がないので動作にさまざまな筋肉を動員しがちです。それでは対象筋以外の筋肉も使うことになり、狙った部位への刺激は弱くなってしまいます。
言い方を変えれば、マシンではフォームが悪くても、軌道が確保されているため、ある程度は対象筋に効かせることができます。一方、フリーウエイトは正しいフォームで実施しないと対象筋には効きません。正しく行わないと効か
ない、というのはフリーウエイトが持つひとつの利点と言えます。
ただし、上腕二頭筋を鍛えるバーベルカールなど場合、その動作は肩関節の屈曲時に円運動を描き、肘や手首が前に出ます。過度な肩の屈曲は肘、手首に負担をかけます。さらに重力の関係で、最後の収縮時の上腕二頭筋への負荷は弱くなります。よって、バーベルカールでは上腕二頭筋のピークをつくるのは難しくなります。そうした部分を補うために、マシンの活用は有効になります。また、支点をつくれることがマシンの大きなメリットです。フリーウエイトでは拮抗筋が支えとして働き、対象筋から負荷が逃げるのを防ぎます。マシンでは最初から支点があり、拮抗筋をそれほど使わなくても対象筋に刺激は入ります。
ただし、神経の関係で、例えば上腕二頭筋をギュッと収縮させる際には拮抗筋である上腕三頭筋も使います。「拮抗筋を使う」こともマシンを使用する上ではポイントになってきます。対象筋にしっかりと効かせる。それは解剖学の視点から筋肉の構造を把握することからはじまります。まずは上腕二頭筋から解説していきます。