【注目キーワード:03】
“中堅機械式時計の逆襲”

カジュアルウオッチというジャンルが世間的に知られるようになり、マーケットが急拡大したのがいまから20年ほど前のこと。当時の若者たちもその多くが40代を超える年齢となった。年齢を重ねた若者たちが、無理のない範囲で本格時計を使うようになったこと、さらに製造機器の進化によって品質が向上していることも影響していると思われるが、ここ最近になって10万円台~30万円台、いわゆるミドルレンジの本格時計が需要を増している。
とはいえ、この価格帯は購入予算も高額である。オリエントスター、エドックス、ミドーなどを例に挙げることができるのだが、ユーザーも、価格に見合った作りを備えたモデル、もしくは価格以上の質感と機能を備えたモデルをシビアに選択しているようだ。
ORIENT STAR(オリエントスター)
メカニカルムーンフェイズ
2017年にオリエントスター初のムーンフェイズ搭載モデルとして登場したフラッグシップモデル。ムーンフェイズに加え、テンプの動きを文字盤から鑑賞できるハートビート、川の流れを曲線で表現した文字盤、多面的に仕上げられた時分針やインデックスなど、20万円を切る価格帯ながら、本格機械式時計の醍醐味を楽しめる満足度の高い作りが幅広い支持を獲得している。

■Ref.RK-AY0103L。SS(41mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.F7M62)。19万8000円
【問い合わせ先】
オリエントお客様相談室
TEL.042-847-3380
【注目キーワード:04】
“マイクロブランド”

景気の低迷とコロナ禍によって、停滞感が拭えない状況が続いている日本の時計市場。しかし、海外市場では新たな動きを確認できる。それがマイクロブランドの台頭だ。マイクロブランドとは数百個単位の少量で商品を製造し、BtoC(企業が直接ユーザーにプロダクトを提供)で商品を販売する小規模の時計ブランドを指す。自社のオンラインショップでの直販を主軸にすることで事業コストを削減しており、低価格でありながら高品質な時計をラインナップしているのが大きな魅力である。
また、すべてに当てはまるわけではないが、オーナー自身が時計愛好家であることが多いため、重要な顧客であるコレクターの嗜好を捉えた商品を作れるというのもマイクロブランドの特徴。手の届く価格、時計好きのツボを心得た意匠を兼ね備え、目の肥えた時計好きから支持を集めて、勢力を拡大しているというわけだ。製造数が少ないため一大トレンドに発展する可能性は低いが、マンネリ感が強い昨今の時計界に、一石を投じる存在であるのは間違いない。
YEMA(イエマ)
リストマスター トラベラー
1960年代に製造されていた“リストマスター”の復刻プロジェクトで、イエマのCEO兼デザイン責任者であるクリストファー・ボール氏が製作したモデル。ケースとブレスレットを一体化させた“ラグスポ系”デザインを採用した、ヴィンテージ感を漂わせるデザインが魅力的だ。

■SS(39mm径)。10気圧防水。自動巻き(自社製Cal.YEMA2000)。9万9000円
【問い合わせ先】
イエマジャパン
TEL.03-5875-8810
文◎船平卓馬(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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