近年、インターネットの普及で、誰でも簡単に時計の情報を入手できるようになっているが、その反面で、拡散力の強い販売店やメディアの情報に偏る傾向があるため、時計市場全体の傾向やリアルなトレンドが見えにくい状況となっているのも事実だろう。
そこで、今回は2022年の時計界の動向と注目すべきトピックスを見つけ出すべく、有力時計店の目利きに取材を実施。日々、様々な時計に接しているプロが、どんなトピックスや時計に注目しているかを紹介していく。
【注目キーワード:01】
“ツートンダイアル”

ダイバーズウオッチと並んで人気が高いジャンルであり、数多くのモデルがリリースされているクロノグラフ。そのテイストは様々だが、ここ最近、存在感を強めているのが文字盤とインダイアルのカラーをツートンカラーに仕立てたモデルだ。なかでも、時計好きから注目を集めているのが、“パンダ文字盤”の通称で知られている、目のまわりが黒いパンダのごとく白文字盤に黒いインダイアルを組み合わせたデザイン。
1950~70年代に製造されたモデルがその原点とされ、後年にロレックスのデイトナをはじめとしたアンティークのクロノグラフが数千万円の高額で流通するコレクターズアイテムとなったことで広くその存在が知られるようになった。当初は高級時計がこのデザインを採用したモデルをリリースしていたが、ここ最近になって手頃な価格帯のブランドからも“パンダ文字盤”を採用したモデルが登場。一般的に、高級時計のトレンドが少し遅れてカジュアルに波及することが多いため、トレンドデザインとしてぜひチェックしておきたい。
CITIZEN COLLECTION(シチズンコレクション)
レコードレーベルツノクロノ(スタンダードモデル)
1970年代にチャレンジタイマーというペットネームでリリースされていたヘリテージモデルをベースに、当時の雰囲気を再現。ツノクロノという名前のとおり、ケース上部から2本のプッシュボタンが飛び出たアイコニックなルックスに加え、白文字盤に黒いインダイアルを配置したバイカラーのデザインが存在感を主張する。

■Ref.AN3660-81A。SS(38mm径)。5気圧防水。クォーツ。2万6400円
【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室
TEL.0120-78-4807
【注目キーワード:02】
“復刻デザイン”

時計界の人気ジャンルとしてラインナップを増やしている復刻モデル。簡単に言うと、過去に製造していたモデルのデザインや機能を再現したモデルである。従来は本格時計ブランドが手がけることが多かったため、必然的に機械式の黄金期とされる1950年代から60年代のモデルが主流であったが、近年はカジュアルウオッチにも復刻トレンドが波及。カジュアルウオッチは本格時計ブランドに比べて歴史が浅いこともあり、70年代から2000年代まで、幅広い年代からライトな復刻モデルのラインナップを増やしている。
TIMEX(タイメックス)
キュー タイメックス ファルコン アイ
1979年に発売されたモデルをベースに製作された“ファルコンアイ”のグリーン文字盤。模様を刻んだ文字盤は光の当たり具合で表情が変わり、独特のニュアンスを楽しめる。ステンレススチールの巻きブレス、コインで蓋を開けて電池を交換できるハッチ・ケースバック構造など、自社アーカイブを忠実に復刻した意匠がマニア心をくすぐる。

■Ref. TW2U95400。SS(38mm径)。5気圧防水。クォーツ。2万4200円
【問い合わせ先】
ウエニ貿易
TEL.03-5815-3277