6. フローからストックの停滞局面へ

日本経済はこのように、バブル期に企業が負債を大きく増やし事業投資を進め、企業主体の信用創造が膨らみ、結果的に家計の金融資産も大きくなったものと思います。

しかし、バブル崩壊後に事業活動の停滞が続くことで、平均所得や労働生産性などのフロー面の停滞が続き、国際的な立ち位置を変化させてきました。

金融資産などのストック面はフローの蓄積ですので、フローが低迷すればもちろんストック面でも立ち位置が低下していきますね。

日本の家計はこのように、過去に積み上げた金融資産(ストック)は非常に多いですが、これから現役世代が積み上げていく金融資産は、このままだとなかなか増えなさそうです。

今のところはまだ平均すれば「国民がお金持ちの国」と言えるかもしれませんが、今後はさらなる転落の可能性も高いように思います。

企業の借入や設備の過剰感は薄れてきていますので、これから国内での事業投資を増やしていく転機を迎えつつあるように思います。今後の人口減少やバブル期の反省を踏まえるならば、規模の経済(大量生産・大量消費)を追う投資だけではなく、仕事の価値を上げるための投資を考えていくべきと思います。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

文・小川 真由/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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