事業ポートフォリオ見直しでそごう・西武はどうなる?

さてセブン&アイは決算発表と同日に、株主をはじめとしたステークホルダーに向けて「世界トップクラスのグローバル流通グループへの進化を目指して」と題した経営メッセージを発信している。
セブン&アイの経営を巡っては、22年2月に米投資会社のバリューアクト・キャピタルがそごう・西武の売却、イトーヨーカ堂の売却・スピンオフを提案する公開書簡を発表。“稼ぎ頭”であるコンビニ事業に経営資源を集中させるよう、事業ポートフォリオの見直しを迫っている。
セブン&アイの井阪社長はメッセージ発信の背景について「当社は22年に入ってから、社外取締役も交えながら株主との面談を重ねてきた。その結果を踏まえ、改めて当社の経営の現状にご理解をいただくためにこのようなメッセージ発信に至った」と話す。
注目されるのはそごう・西武、イトーヨーカ堂についての方針だが、同メッセージでは「事業ポートフォリオの見直しと最適運営に向けたアクションの加速」(資料より)を進めていくとし、そごう・西武については、「構造改革を進めながら、並行してベストオーナーを探すことも検討していく」(井阪社長)とのことで、初めて公式に売却の可能性を示唆した。
そごう・西武では現在、ファイナンシャルアドバイザーを起用し、「ストラテジック・レビュー」(事業の戦略的見直し)を実施しているとのことだが、条件さえ整えば売却に至る可能性が高そうだ。
縮小続くイトーヨーカ堂の未来は
一方で、イトーヨーカ堂については、「22年度(23年2月期)中に構造改革にメドをつけ、次年度以降は新たな成長ステージにしていく」と井阪社長は述べている。
セブン&アイは「中期経営計画」の中で、食品事業を戦略的な成長領域と位置付け、その強化を図っていく方針を打ち出している。そしてその中ではイトーヨーカ堂が有する産地把握、商品調達、生産管理などの知見が不可欠であるとし、「イトーヨーカ堂を中心としたスーパーストア事業とコンビニ事業がグループ内にあることが将来の成長に資する」(井阪社長)と、売却は考えていないことを強調した。
今後のグループの事業方針では、国内外のコンビニ事業の連携により利益成長を加速させるとし、セブン-イレブン・インクについては昨年買収した米スピードウェイとの統合シナジー発揮に力を入れる。セブン-イレブンとの連携によるバリューチェーンの構築、PB商品やフレッシュフードの拡充、レストラン事業拡大などにより、セブン-イレブン・インクでは25年度まで年平均の純利益成長率20%超を見込む。
そのほかグローバル戦略としてセブン-イレブンとセブン-イレブン・インクとの共同出資で7-Eleven International LLC(セブン-イレブン・インターナショナルLLC)を21年に設立。詳細なロードマップは今後公表するとのことだが、30年度までに全世界30の国と地域での事業展開をめざすとしている。
株主に向けたメッセージで掲げたとおり、「世界トップクラスのグローバル流通グループ」になるべくアクセルを踏み込んだセブン&アイ。グローバルリテーラーをめざす中では、そごう・西武やイトーヨーカ堂などグループ内で燻る事業会社の行方がやはり焦点になりそうだ。
提供元・DCSオンライン
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