目次
超人を作るゲノム編集とは
超人遺伝子のリスト
ホーキング博士の懸念

超人になれる「遺伝子リスト」をハーバード大学の科学者が作成してしまう
(画像=Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

Point

■ハーバード大学の遺伝学者ジョージ・チャーチ博士が、人体に突然変異を起こす可能性のある遺伝子のリストを作成

■その中には、痛みへの無感覚化や長時間潜水の能力、放射能への耐性をもたらす遺伝子まで存在している

■ホーキング博士は生前、ゲノム編集技術の進歩によって「遺伝子格差」が生じる可能性を指摘していた

ミュータントの誕生は近い?

現在ハーバード大学の遺伝学者ジョージ・チャーチ博士が、人体に突然変異を引き起こす可能性のある遺伝子のリストを作成している。

このリストをもとに遺伝子操作を行えば、人の寿命を人工的に伸ばしたり、超人的な力をもたらすことも可能だという。

博士本人はまだ海外メディアの取材にも応じておらず、このリストが研究の参考になるものなのか、それとも冗談半分にまとめたものなのかは分かっていないようだ。

何だかマッドサイエンティストの匂いがしてくる。

超人を作るゲノム編集とは

人体に遺伝的な変異を起こすにはゲノム編集を行う必要がある。

ヒトのDNAには個人の遺伝子情報がすべて記録されており、人体の設計図ともいわれる。この遺伝子情報の全体をまとめてゲノムと呼び、先天的な特徴はこのゲノムによって前もって決められている。

超人になれる「遺伝子リスト」をハーバード大学の科学者が作成してしまう
(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

そしてこのゲノムを目的に合わせて改変することをゲノム編集という。例えば病気の原因となる遺伝子を取り除くことで、健康な子どもを作れるといわれている。

さらに人体を強化する遺伝子を組み込めば、超人を作り出すことも可能なのだ。

超人遺伝子のリスト

チャーチ博士が作成したリストには、遺伝子名の横に「遺伝子型」「利点効果」「欠点・副作用」の順に内容が書かれている。

その中からいくつか抜粋してみよう。(リストの全体はこちらから閲覧可能)

・LRP5遺伝子 効果:骨密度・骨格の増加および強化 副作用:水中における浮力の低下

・SCN9A遺伝子 効果:痛みへの無感覚化 副作用:何らかの害(Unnoticed harm)

・PDE10A遺伝子 効果:水中での長時間潜水 副作用:不明

・BHLHE41 = DEC2遺伝子 効果:必要睡眠時間の短縮・調節 副作用:不明

・CTNNB1遺伝子 効果:放射能への耐性 副作用:不明

・TERT遺伝子 効果:エイジングの減退 副作用:不明

・GRIN2B遺伝子 効果:学習能力・記憶力の向上 副作用:不明

・PDE4B遺伝子 効果:不安症・緊張症の緩和 問題解決能力の向上 副作用:不明

リストを見れば一目瞭然なように、遺伝子の副作用が列挙されているものは少なく、ほとんどの遺伝子についてどのような欠点があるのかほとんど分かっていない。

ただこうした遺伝子を組み合わせれば、魚のように水中を泳げ、短い睡眠時間で活動でき、痛みも感じないような超人的兵士を作り上げることもありえない話ではない。