現在、副収入として投資を行っている人の中には「将来的に会社を辞めて不動産投資だけで生活したい」と考えている人もいるかもしれません。不動産投資で起業するためには、正しい方法を知ったうえで計画的に進めていく必要があります。会社を設立するタイミングを間違えると、かえって金銭的な負担が増えてしまうかもしれません。では不動産投資で起業するには、何に注意すればよいのでしょうか?
目次
不動産投資で起業する方法は2種類
・個人事業主として起業
・法人として起業
不動産投資で副業として起業するときの注意点
・勤務先に副業規定があるか確認する
・安定した賃料収入が得られるまで独立しない
・法人化するタイミングを誤ると金銭的な負担が増える
不動産投資で起業する方法は2種類
不動産投資で起業するには、個人事業主になる、または法人化する方法があります。
個人事業主として起業
不動産投資で起業する方の多くが、個人事業主から始めます。個人事業主として開業する場合、特に必要な手続きはありません。年に1度の確定申告で、賃料収入から諸経費を差し引いた不動産所得を申告し、所得税を納める必要があります。
また確定申告を「白色申告」にするか「青色申告」にするかについては、ある程度の事業規模になったら青色にするケースが多いです。ある程度とはどのくらいかというと、基準といわれている「投資規模の目安」があります。
目安は「5棟10室」です。戸建なら5棟、アパートやマンションなら10室の貸付数があれば「事業的規模」と認められます。事業的規模に満たない規模の場合は、青色申告を選んでも税制メリットは大幅に制限されます。
法人として起業
不動産投資が順調に進み、投資物件が増えて不動産所得が高額になると個人事業主から法人化するのが一般的です。その理由は、所得がある地点を超えると個人が支払う所得税の税率よりも法人税の税率の方が低くなるためです。不動産所得が多い場合は法人化した方が税負担を軽減できます。
また法人化すると、経費として認められる範囲が広くなる点もメリットです。
不動産投資で副業として起業するときの注意点
不動産投資を始める際は、トラブル防止や損をしないためにいくつか注意すべき点があります。
勤務先に副業規定があるか確認する
不動産投資を始める際は必ず勤務先の就業規定を確認しましょう。なぜなら勤務先によっては就業規定で副業が禁止されているためです。
就業規定で副業が禁止されていても、法的な拘束力はないとされています。しかし社内ルールで禁止されているにもかかわらず、会社に内緒で副業を始めると上司や同僚との間でトラブルが発生して本業に支障が出るかもしれません。
会社員が不動産投資を始める際は、総務や人事に副業が承認されているかどうかを確認しましょう。もしも禁止されている場合は、別の会社へ転職するのもひとつの方法です。ただし転職をすると金融機関からの融資が受けづらくなる可能性がある点に注意しましょう。
安定した賃料収入が得られるまで独立しない
不動産投資で独立するタイミングを誤ると、金融機関からの融資が受けづらくなって事業拡大が難しくなる可能性があります。
金融機関の融資審査では、安定した収入があるかどうかが重要なポイントです。会社を辞めて給与収入という安定した収入源が途絶えてしまうと、融資の審査のハードルは一気に上ります。
不動産投資で黒字経営が期待できるまでは独立せず、会社員として働きながら不動産投資を行った方が事業を拡大しやすい面もあります。独立するタイミングは慎重に判断しましょう。
法人化するタイミングを誤ると金銭的な負担が増える
法人化すると、個人事業主ではかからなかった支払いが必要となります。まず第一にたとえ赤字でも収入の有無にかかわらず法人住民税を7万円支払う必要があります(資本金1千万円以下・従業員50人以下の法人、東京23区)。
いままで個人として所有していた不動産を法人にすることで、所有者が変わるために登録免許税や不動産取得税がかかります。個人事業主のときよりもさらに厳格に帳簿をつける必要があるため、報酬を支払って税理士に依頼するのが一般的です。顧問税理士として契約することで費用が発生します。
そのため法人化するタイミングを誤ると、金銭的な負担が増えてしまい、かえって手元に残る金額が少なくなる可能性がある点に注意が必要です。
個人事業主のときに発生しなかった支払いも考慮したうえで判断しましょう。