排気管から盛大に炎を吹き出す「アフターファイアー」。吸気側に爆発炎が逆流する「バックファイアー」と混同される事が多く、どっちも「バックファイアー」と呼ばれる事もありますが、文字通り排気系での炎はアフターファイアーです。派手に火を吹いてますが大丈夫でしょうか?

バックファイヤーとアフターファイヤーの違い

バックファイアーとアフターファイアーは何が違う?起きる原因は?
(画像=『CarMe』より 引用)

語感としてはどちらも「後ろで」あるいは「後で」発火すると読めない事も無いので混同されがちですが、「バックファイアー」は後ろで火を吹くからバックファイアーなのではなく、正常な燃焼の前段階に逆流(バック)したところで点火するから「バックファイアー」なわけです。

対して、燃焼の後段階(アフター)で不意に着火するのが「アフターファイアー」で、排気管内で燃焼直前の未燃焼ガスが排気管出口付近で急速に酸素を得て爆発的に着火するため、激しい炎を吹き出します。

見た目で派手なのはもちろんアフターファイアーの方ですが、バックファイアーもボンネットを開けて調整中にキャブからパンパンと不正爆発音を響かせながら炎を吹き出したりするので、派手というか怖いです。

走行中はエンジンやキャブレターがむき出しでも無い限り見えず、見えるほどの時は点火というより出火…。すなわち、事故でしかないバックファイアーは、意図的に行う事はあまりありません。

一方、アフターファイアーも正常な燃焼とは言い難いのですが、特に夜間のイベントなどでの演出効果を狙って意図的に行われる事もあります。

あまりに燃調が薄いとバックファイアーが起きる

エンジンで燃料と空気の混合気が効率的に爆発燃焼させるためには、両者を理想的な割合で混合した空燃比(理論空燃比)が必要です。

ストイキ燃焼、とも言われる理論空燃比ですが、実際には燃費その他の理由で燃料を薄くするリーン燃焼(リーンバーン、経済空燃比)や、パワーを稼ぐため燃料を濃くするリッチ燃焼(リッチバーン、出力空燃比)との組み合わせで使われるのが現代流です。

とはいえ、そうして空燃比を制御するというのは電子制御あってのもので、電子制御キャブレターや電子制御インジェクションならばともかく、機械式キャブレターや機械式インジェクションではそうもいきません。セッティングを誤ると、行き過ぎたリーンバーンで燃焼に必要な燃料が足りず、燃焼室に吸気途中で爆発燃焼を起こしたりするのががバックファイアーです。

リーンバーンでは他にも、ガソリンの気化熱によるバルブやシリンダ冷却が不足するので燃焼室の温度が上がりすぎていまい、シリンダーやピストンを溶損してエンジンブローの原因にもなります。

また、点火プラグの不調や吸入空気量を測定するエアフロメーター(エアフロセンサー)の不調でも起きるので、必ずしも電子制御エンジンでバックファイアーが起こらないとは限りません。