規模が小さいものも含めれば、日本ではほぼ毎日のように地震が発生しています。近年は耐震性の高いマンションも増えているものの、もしも大きな地震が起こったときに不動産投資用のマンションではどのようなリスクがあるのでしょうか。そこで、不動産投資における地震のリスクと対処法について解説いたします。

目次
不動産投資において地震はリスクになる
 ・収益が見込めなくなる
 ・修復するための費用が発生する
 ・ローンの返済負担が大きくなる
 ・不動産価値が下がる
地震のリスクをできるだけ減らす方法は
 ・不動産投資エリアを分散する
 ・危険性の低いエリアのマンションを購入する
 ・新耐震基準を満たすマンションを購入する

不動産投資において地震はリスクになる

1978年に発生した宮城県沖地震をきっかけに建築基準法が見直され、震度6~7の地震でも倒壊しない耐震性能を求める新耐震基準が1981年の改定により定められました。

その後、2005年に起きた耐震強度に関する構造計算書偽装問題の再発防止として、2007年に建築基準法や建築士法が改正されました。鉄筋コンクリート造で高さ20m超など、一定の高さを超える建築物においては、指定機関による構造計算審査の義務付けや3階建て以上の共同住宅については中間検査が義務付けられるようになりました。

大規模地震などの経験を生かした建築基準法等の改正により、新耐震基準を満たす建築物であれば、不動産投資の中でもマンションは比較的リスクが低いといわれています。

とはいえ、地震による影響を一切受けないわけではありません。地震による不動産投資用マンションへのリスクは、次のようなものが挙げられます。

収益が見込めなくなる

2011年の東日本大震災では、マンションの主体構造の被害はほとんどなかったといわれていますが、地震によって不動産投資のマンションが被害を受けた場合、たとえ倒壊を免れたとしても、状態によっては入居者を住まわせ続けるわけにはいかなくなります。そうなると、見込んでいた家賃収入が得られなくなってしまいます。

修復するための費用が発生する

地震によりひび割れなどが起こった場合、投資用不動産として維持するのであれば、当然修復が必要になります。地震被害の規模によっては、高額な出費となる可能性があります。

ローンの返済負担が大きくなる

不動産投資マンションをローンで購入し、返済途中に地震被害に遭った場合、たとえマンションが倒壊したとしてもローンの残債は返済しなければなりません。家賃収入が途絶えたうえ、修復の費用も必要となる中でローンの返済も行うのは大きな負担となります。

不動産価値が下がる

地震被害に遭うと、不動産投資のマンションの価値は下がり、想定していた価格での売却が難しくなります。マンションを担保にした借入れも難しくなるでしょう。

地震のリスクをできるだけ減らす方法は

不動産投資のマンションにおいて、地震は破綻を招く可能性も高い大きなリスクを抱えた自然災害といえます。ただ、地震大国ともいわれる日本において、地震の被害をまったく受けずに不動産投資を続けるのはほぼ不可能でしょう。

そこで、地震が起きた際に少しでもリスクを下げられるように、あらかじめ対策をしておくことが重要です。

不動産投資エリアを分散する

マンション1棟や1部屋だけを所有していた場合、その物件が地震の被害に遭うとすべてを失ってしまいます。一方、2つ以上所有していれば、被害を受けなかった物件の家賃収入は変わらず得られるので、地震によるリスクを和らげることができます。

関東と九州など、エリアを分散して複数の物件を所有しておくと、同時期に被害を受ける心配がなく、地震によるリスクを下げられます。

危険性の低いエリアのマンションを購入する

各地域の自然災害による被害を予測したハザードマップがあります。地震によって地盤が液状化する可能性があったり、津波などによる浸水被害の可能性が高いエリアでは、マンションが傾斜や倒壊などの被害を受ける恐れがあります。

不動産投資用にマンションを購入する際は、ハザードマップを確認して、できるだけ自然災害のリスクが低いエリアから選ぶようにすることが大切です。

新耐震基準を満たすマンションを購入する

建築基準法が改正される前に建てられたマンションなどは、耐震が現行の基準を満たしていない場合があります。そのため、1981年以降に建てられたマンションを購入することで、地震が起きた際の被害を抑えられます。

なお、1981年以前に建てられたマンションでも、改修などにより耐震を強化している物件も少なくありません。購入予定の物件の耐震が気になるときは、修繕履歴などを確認しましょう。