3. フローからストックの停滞へ
続いて、1997年と2019年の各国の水準の比較をしてみましょう。

OECD 統計データ より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
図3が1997年の時点の数値が高い順に並べたグラフです。
アメリカが81,780$、日本が63,890$で、OECDの平均値が24,698$です。
この時点ではアメリカが最も高い水準ですが、日本はアメリカに次いで26か国中2番目でした。平均値の倍以上の高水準だったようです。
このころから、ドイツがやや低めだったというのは少し意外ですね。

OECD 統計データ より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
図4が2019年のグラフです。
アメリカが234,019$で1997年の約3倍にまで増加しています。日本は108,245$で増えてはいますが、1.5倍程度の成長ですね。
相変わらずアメリカは1位ですが、日本は順位を大きく下げて36か国中10位にまで後退しています。ただし、平均値よりもまだ高い水準をキープしていますね。
イタリアやフランス、ドイツよりも5割ほど多い状況です。平均値で見れば、日本はまだ家計が豊かな国であることがわかります。
ただし、家計資産のうち預金の7割は60歳以上の高齢層に偏っているなど、世代間、世代内の格差があるのも事実ですね。特に40代が顕著ですが、現役世代の多くはローンを多く抱え困窮しています。
また、労働者の低所得化をはじめ、日本経済はフロー面の停滞が長期間続いています。右肩上がりでの成長が当たり前の世界において、賃金やGDPなどの指標が相対的に低下していることになりますね。
もちろん、フローが低下すれば、ストックも低下していくはずです。それが家計資産にも如実に表れているのではないでしょうか。
バブル期に極端に高まった水準をスタートとすれば、スタート時の高水準な資産を相対的に食いつぶしながらジリ貧状態になっているようにも見えます。
このままだと、豊かなはずの家計資産の水準も先進国で埋没していく事は明らかですね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
文・小川 真由/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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