1. 家計の純金融資産も横ばい傾向
前回は、家計調査の結果から2人以上の勤労世帯についての変化を可視化してみました。特に若い世代で持家率が増加し、ローンを抱えている世帯が増えています。これらの世帯では子供の数は減少どころか増加傾向という意外な事実もわかりました。
一方で、消費支出を大きく減らしているわけですが、そのうち「こづかい」や「交際費」を大きく減らしています。
世帯主の収入が減り雇用が不安定になる中、ローンを抱え、切り詰められるものを切り詰めていくという行動が見て取れます。
そんな家計ですが、実は金融資産は世界的に見ても高い水準です。
今回からは家計の金融資産や負債の水準についてフォーカスしてみましょう。
まずは、金融資産と負債の差額である「純金融資産」からです。

OECD 統計データ より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
図1がOECD各国の家計(Households and NPISH)の純金融資産の推移です。
圧倒的にアメリカの存在感が高く、バランスの悪いグラフですが、日本との差が明確ですね。日本とアメリカには6倍近くもの差があります。日本は増加傾向ではありますが、アメリカとどんどん引きはなされています。
日本の家計の純金融資産は、右肩上がりで増加はしていますがアメリカと比較すると増加具合は随分緩やかなようです。
2. 1人あたりで比べてみよう!
各国で人口が異なりますので、人口あたりの数値でも見比べてみましょう。

OECD 統計データ より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
図2が人口1人あたりの純金融資産の推移です。
日本はやはり1990年代半ばに非常に高い水準に達しています。当時は急激な円高もあり、ドル換算値にするとかなり高い数値になります。
その後も増加傾向ではありますが、アメリカの増え方とは大きく差がありますね。近年ではカナダやイギリスに追いつかれて大体同じくらいの水準です。イタリアやフランス、ドイツがほぼ同じ水準になっています。
少しずつですがこれらの国と日本の差も縮まっているように見えますね。