目次
減税額をシミュレーション
・控除を受ける前の税額
・所得税
・住民税
・ふるさと納税の寄附金控除を受けたあとの税額
・住宅ローン控除を受けたあとの税額
ふるさと納税の上限への影響も
減税額をシミュレーション
それでは改めて、住宅ローン控除とふるさと納税を併用した場合の税額をイメージできるよう、シミュレーションしてみます。条件は、以下の通りです。
- 会社員(独身男性)
- 年収:7,000,000円
- 社会保険料:1,000,000円
- 年末時点の住宅ローン借入高:6,000万円
- ふるさと納税額:80,000円
控除を受ける前の税額
まずはふるさと納税と住宅ローン控除を受ける前の所得税額と住民税額を計算します。
課税所得=収入-給与所得控除-所得控除
所得控除とは、基礎控除や社会保険料控除などがあります。それぞれの金額は、以下の通りです。
- 給与所得控除:1,800,000 円(収入金額×10%+1,100,000円)
※計算式は給与等の収入金額によって変わる - 基礎控除:480,000円
- 社会保険料控除:1,000,000円
所得税
最初に所得税の課税所得を計算します。
課税所得=年収-給与所得控除-所得控除
=700万円-1,800,000円-480,000円-1,000,000円
=3,720,000円
課税所得金額が、3,300,000円〜 6,949,000円までの場合、所得税額は以下の通りです。
所得税額=課税所得×20%-427,500円
=316,500円
よってモデルケースにおける所得税額は、316,500円となります。
住民税
住民税は、約10%です。所得割と均等割の合計金額から税額控除を差し引いて計算します。東京都の例で見てみます。
所得割額=( 総所得金額-所得控除 )×税率(10%)-税額控除
均等割額=都民税額(1,500円)+市区市町村民税額(3,500円)
控除を考慮しない住民税額は、以下の通りです。
=379,500円+5,000
=384,500円
したがって所得税と住民税の合計は、316,500円+384,500円=701,000円です。
ふるさと納税の寄附金控除を受けたあとの税額
ふるさと納税で納税(寄付)した金額は80,000円です。まず自己負担2,000円を除いた78,000円が控除対象となります。
確定申告による申告の場合、所得税から先に控除されます。所得税の税率20%をかけて、15,600円が所得税から控除されます。
残りの62,400円が住民税から控除となります。
住宅ローン控除を受けたあとの税額
次に、住宅ローン控除を受けて減額されたあとの所得税と住民税を計算します。
住宅ローン控除額は、年末時点の借入残高6,000万円の1%は60万円ですが、上限が設定されているので40万円です。
所得税は316,500円ですが、先にふるさと納税で15,600円分控除を受けているので、住宅ローンの控除額は、300,900円となります。所得税から引ききれなかった金額の99,100円が、住民税から差し引かれます。住宅ローン控除の住民税からの控除の上限は136,500円なので、全額が控除されることになりました。
モデルケースにおける所得税は316,500円で、住民税は384,5000円です。ふるさと納税の控除額と住宅ローン控除額40万円とで、所得税は0円になりました。その後、残りの控除額、ふるさと納税62,400円と住宅ローン控除99,100円が住民税から差し引かれて最終的な税額は223,000円となります。
ふるさと納税の上限への影響も
上記のシミュレーションでは触れられていませんが、ふるさと納税の限度額を住宅ローン控除を考慮せずに想定していると、2,000円の自己負担でできると考えていたふるさと納税の寄附金の上限額が変わる可能性があります。ふるさと納税がフル活用できなかった、ということも起こります。
住宅ローン控除について所得税で控除しきれなかった額は、住民税で控除します。その後、ふるさと納税分の控除額を住民税で控除します。その際、住民税以上にふるさと納税分があると、控除しきれなくなる結果となります。
例えば東京都中央区のホームページには、住宅ローン控除などとの併用も考慮のうえで、ふるさと納税の限度額が試算できます。
参照: 個人住民税額シミュレーション 中央区ホームページ
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する際には、申告の方法が確定申告だと、所得税から控除されると想定されていた住宅ローン控除の金額から変わります。またふるさと納税の上限枠が減る可能性があることを覚えておき、併用する際には、事前にシミュレーションすることをおすすめします。
監修: 税理士法人 スバル合同会計
※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。
提供元・RENOSYマガジン
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