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「タ」の秒間発音数は舌の運動能力のバロメーター
「タ」の発音訓練はフレイル予防に有効かもしれない

「タ」の秒間発音数は舌の運動能力のバロメーター

「あーたたたた!」1秒間に「タ」を6回言えないと2年後にボケる可能性
(画像=「タ」は舌の運動能力のバロメーター / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

なぜ「タ」がフレイル状態を予測できるのか?

それはフレイル状態の判断では認知能力に加えて運動能力が極めて重要な要因になるからです。

そしてこの運動能力は手足だけでなく、舌の動きも含まれます。

「タタタタ」と連続して発音するとき、舌の前方部が裏顎(前歯の裏)に何度も当たるのを感じると思います。

「タ」の秒間発音数の測定は、舌というユニークな器官の運動能力の測定と同義であり、それゆえフレイルの判断や予測に使えると考えられます。

では逆に「タ」の発音を訓練すれば、フレイル状態に陥るのを回避できるのでしょうか?

「タ」の発音訓練はフレイル予防に有効かもしれない

「あーたたたた!」1秒間に「タ」を6回言えないと2年後にボケる可能性
(画像=「タ」の発音訓練はフレイル予防に有効かもしれない / Credit:北斗の拳 . 集英社 , 武論尊,原哲夫、『ナゾロジー』より引用)

「タ」の発音訓練でフレイルを予防できるのか?

プレスリリースにて研究者たちは「予防できる可能性がある」と述べています。

フレイルに陥ったから「タ」の発音能力が落ちたのか、「タ」の発音能力が落ちたからフレイルになったのかは明言できませんが、相関しているのは確かだからです。

もし研究者たちの予測どおり、「タ」の発音練習でフレイルを回避できるならば、極めて簡単な健康寿命を延ばす方法として多くの人々を救うことができるでしょう。

といっても、実際に「タ」の秒間発音数を測定するのは、自力では困難です。

そこで発音回数の測定方法としておすすめなのが「パタカウンター(有料)」や「パタッカー(無料)」「くちけん(無料)」などのスマホアプリを利用したものになります。

これらのアプリでは舌の前方を上げる「タ」に加えて唇を動かす必要がある「パ」や舌の後部を上げる必要のある「カ」の秒間発音回数が測定可能になっています。

もし将来の健康状態が気になる人が近くにいるなら、これらのアプリを利用して秒間6回を超えるように「タ」の発音を訓練してもらうのもいいかもしれません。

(※なお私見ですが「タ」を連続発音していると、なんだか脳にビリビリと刺激が行き覚せい感を覚えました)


参考文献

フレイルになる人は2年前に舌の動きが衰えていた!

元論文

Oral Factors as Predictors of Frailty in Community-Dwelling Older People: A Prospective Cohort Study


提供元・ナゾロジー

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