1秒に6回が境界のようです。
日本の岡山大学で行われた研究によれば、1秒間に発音できる「タ」の数が、2年後の認知機能や身体機能の状態に関連している、とのこと。
「タ」をたくさん言えた人(6回以上)は、2年後も健康である可能性が高かった一方で、あまり言えなかった人(6回以下)は、2年後に要介護の前段階にある「フレイル(虚弱)」状態になる可能性が高くなっていました。
どうやら発音能力と未来の健康状態は深く関連しているようです。
記事の最後では「タ」の秒間発音回数の測定アプリも紹介しているので、気になる人は是非試してみて下さい。(※本記事はアプリの広告ではありません)
研究内容の詳細は2022年1月20日に『International Journal of Environmental Research and Public Health』にて公開されました。
目次
健康と要介護の中間である「フレイル」状態
「タ」を1秒に6回言えないと2年後にフレイルなりやすくなる
健康と要介護の中間である「フレイル」状態
人間は老化すると認知機能や身体機能が衰え、次第に1人では生活ができなくなっていきます。
日本ではそのような人々に対して「要介護」の認定制度があり、認定されると国から給付金が貰える仕組みになっています。
ただここで支払われるお金は税金から出ており、要介護となる人の増加は税負担の増加につながります。
そこで重要になるのが「要介護」の前段階となる「フレイル」状態です。
フレイル状態は要介護ほどではないものの、精神や身体が大きく衰弱していることが知られており、健康と要介護の中間地点にあります。
一般に「ちょっとボケてる」や「体の自由が効かなくなってきた」と表現されることがあるのは要介護段階に入ってからではなく、このフレイル段階にあたると言えるでしょう。
ただこのフレイルの段階になっても希望はあります。
「要介護」から「健康」に戻るのが極めて困難である一方で、適切なケアと訓練を行えば「フレイル」状態から「健康」に戻ることは、十分に可能であるとされてるからです。
そのため人々がフレイル状態になるかを事前に予測する手法の開発は、超超高齢化社会(高齢化率28%以上)を迎えた日本にとって必須となっています。
そこで今回、岡山大学の研究者たちはフレイル状態を予測する手段を開発するために、60歳以上の健康な人々(平均年齢72歳)の健康や発音能力を2年間にわたり追跡調査しました。
すると意外な事実が判明します。
「タ」を1秒に6回言えないと2年後にフレイルなりやすくなる
研究者たちが被験者たちの健康や発音能力を調査したところ、発音能力が将来のフレイル状態を予測するバロメーターになることが判明します。
特に「タ」を発音する能力は2年後のフレイル状態との関連性が強く、2年後も健康な人では1秒に平均して6.3回「タ」を発音できたのに対して、2年後にフレイルに陥ってしまった人では1秒に平均して5.9回しか「タ」と発音できませんでした。
これまでの研究で「タ」の秒間発音数が4回以下になると「要注意」とされていましたが、どうやら6回を下回った段階でもフレイルになる危険性が高まるようです。
そうなると気になるのが「タ」がフレイルを予測できる仕組みです。
「タ」の秒間発音数が、なぜ将来のフレイルを予測できるのでしょうか?