「週1回お金の口論をする夫婦は、月数回口論する夫婦よりも離婚率が30%高い」ことが調査で明らかになった。お金の口論を減らす3つのルールを守ることで、離婚の危機を回避できるかもしれない。
離婚原因トップ--米国は「お金」、日本は妻側にお金の不満?
ユタバレー大学の家族・消費者・人間開発部のジェフリー・デュー準教授が、2,800組の米国人夫婦を対象に実施された「家族と世帯の全国調査」を分析したところ、夫婦関係に亀裂が入る最大の要因は「金銭問題」であることが分かった。この調査は夫婦喧嘩の原因を聞き出し、5年後の夫婦関係(結婚生活が続いているか・離婚したかなど)の統計をとったものだ。
お金に関する口論の頻度と離婚リスク率は比例しており、お金の口論が月1回以下の夫婦の離婚リスク率は40%以下だが、ほぼ毎日の夫婦は160%を超える。
実際、米国の離婚原因トップ3は「お金」「浮気」「コミュニケーションの欠落」だ。日本の離婚理由トップ3は「性格の不一致」は夫・妻ともに一致しているが、夫が「浮気」「精神的な虐待」であるのに対し、妻は「暴力」「生活費を渡さない」(離婚弁護士ナビより)と、お金のことで不満を抱いているのは妻側という点が興味深い。妻側に不満があるということは、離婚リスクは常に潜んでいるということだ。
負債より夫婦間のコミュニケーションが関係に影響?
金融リテラシーサービスを提供するラムゼー・ソリューションが実施した調査では、負債総額の大きい夫婦ほどお金の口論が多いことが明らかになっている。調査に協力した1,000組の夫婦のうち、およそ半分は5万ドル以上の負債を抱えており、夫婦の口論の最大の理由が金銭問題であることを認めている。
そのうち47%は負債に対してストレスや不安を感じているにも関わらず、63%が「お金の話を夫・妻としたくない」、3分の1が「内緒で買い物する」。対照的に「夫婦生活が非常に上手くいっている」と答えた夫婦の94%は、夫・妻と経済的な夢(マイホームや車の購入、旅行など)について定期的に話し合っている。
負債が夫婦関係にネガティブな圧力をかけていることは明らかだが、結婚生活5年以下の夫婦の86%、25年以上の夫婦の43%が負債を抱えた状態で新婚生活をスタートさせている。その点を考慮すると、夫婦関係に強く影響するのは負債そのものよりも、「夫婦間のコミュニケーションが上手くいっているか」「お互いのお金の価値を理解し合っているか」ではないかと思われる。
お金の口論を減らす3つのルール
お金の価値観の違いは、関係の初期段階に現れることが多い。例えば交際期間中、「躊躇することなくクレカやローンで高額な買い物をしていたか」「高価ではない贈り物でも喜んでいたか」など、相手の些細な行動からお金の価値観が分かる。
結婚前にお互いの価値観についてじっくり話し合い理解しておくことが重要だが、実行している夫婦は少ないようだ。結婚してからでも遅くはない。口論に発展させずお金について話し合うルールを決めておこう。
ルール1 十分なコミュニケーションをとる
何気ない日常的な会話を大切にし、言葉やタイミングに気を付けつつ伝えたいことをしっかりと伝える。相手の話を真っ向から否定せず、理解するように努力する。そうした積み重ねが、お金のことに限らず、様々なことを包み隠さず話し合える信頼関係を築くのに役立つはずだ。
ルール2 相手のお金の価値観を理解する
お金の使い方でもめるのは、お互いのお金の価値観を理解していないからだ。「どうして浪費をやめないのか」と腹を立てても、相手にとっては「必要な買い物」であるかもしれない。相手の浪費や衝動買いが口論の原因ならば、その原因を突き止める。自分と相手にとって何が必要で何が必要でないかを理解し合うことは、解決策を見つける第一歩だ。
ルール3 お金の話をネガティブなトピックにしない
「紳士はお金の話をしない」という古い考え方もあるが、共働き家庭が増えた現在、紳士こそ妻にお金の管理を任せっぱなしにせず、積極的にお金の管理に参加すべきではないだろうか。お金の問題は夫婦、ひいては家族全体に影響を及ぼす重要な問題である。「ネガティブなトピック」という考え方を改め、家庭円満に貢献するポジティブなトピックととらえよう。
文・アレン・琴子(英国在住のフリーライター)
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