証券会社の主な収入源は、顧客の売買注文が成立した時に受け取る手数料だ。そのため、顧客の売買が増えるほど、売上と利益が増える。そんな証券会社で働く営業担当者には、顧客には絶対に知られたくない「不都合な真実」がある。

インデックス投資の積立が最強?

結論から述べよう。証券会社の営業担当者が顧客に知ってほしくない「不都合な真実」とは、インデックス投資で積立を行えば、堅実なリターンが期待できることだ。多くの場合、売買を頻繁に繰り返すよりもリターンは大きくなる。

インデックス投資とは、株価指数に連動する投資信託(=インデックスファンド)を保有することだ。インデックスファンドは個別株よりも手数料がかなり安い上に、積立投資では一度買った投資信託を最後まで売却しないので、証券会社に入る売買手数料は非常に少なくなる。これが、証券会社にとって「不都合な真実」というわけだ。

株式の売買を繰り返す場合に比べて、インデックス投資のほうがリターンは大きくなるケースが多いというのは本当だろうか。株価指数プロバイダーであるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが発行した資料には、その傾向を示すデータがある。

アクティブファンドはインデックス投資に勝てない?

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが2021年4月に発行した「SPIVA 日本スコアカード2020年末版」には、株価指数をアンダーパフォームしたアクティブファンドの割合が公表されている。

アンダーパフォームとは利回りが下回ることで、アクティブファンドとは運用会社が株式などを対象に運用する投資信託のことだ。アクティブファンドの多くが株価指数をアンダーパフォームしていれば、運用会社のトレーダーでもインデックス投資にはかなわないということになる。

株価指数をアンダーパフォームしたアクティブファンドの割合は、以下のとおり。50%を超えている場合は、株価指数をアンダーパフォームしたアクティブファンドが半分以上あったということだ。

<株価指数をアンダーパフォームしたアクティブファンドの割合>
ファンド名 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
日本の大型株ファンド 43.6% 63.6% 15.3% 90.2% 57.6% 54.0%
日本の中型株ファンド 60.7% - - - - -
日本の小型株ファンド 48.2% - - - - -
日本の中小型株ファンド - 54.6% 13.1% 88.7% 25.4% 17.6%
全ての日本株ファンド 46.4% 58.2% 19.7% 86.9% 43.7% 44.3%
米国株式ファンド 87.4% 61.3% 74.8% 46.8% 78.8% 68.4%
グローバル株式ファンド 70.9% 90.1% 64.6% 54.2% 56.2% 52.4%
国際株式ファンド 65.5% 88.7% 62.3% 47.3% 67.7% 77.4%
新興国株式ファンド 46.5% 82.9% 75.0% 70.8% 56.8% 60.5%
出典:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス