新型コロナウイルスの出現で、連日マスコミに取り上げられたのがマスクの品不足の問題です。ドラックストアには行列ができ、品不足に改善の兆しが見えてこないのが現状です。これまでマスク文化をまったく受け入れなかった欧米の人々にも浸透するなど、マスク市場は歴史的転換期に入ったように見えます。このマスク市場に注目し、世界各国の企業がマスク生産を開始している状況と今後の市場を展望します。

新型コロナウイルスによりマスクの重要性が世界的に認知

新型コロナウイルスの出現は世界中にマスクの重要性を認知させました。新型コロナウイルスが出現する前までは、日本で花粉症対策やインフルエンザの予防で日常的に見られるマスク姿は、欧米ではほとんど見られませんでした。マスクをするのは病気にかかっている人のみと考える多くの欧米人は、日本で大勢の人がマスクをしている姿を見て、違和感を持っていたほどです。

そんな欧米でも大きな変化が起きています。米国のトランプ大統領は4月3日、外出時のマスク着用を奨励することを国民に向けて発表しています。欧州ではチェコ、スロバキア、オーストリアがマスク着用を義務化しました。

マスク不足の問題は、世界中で起こっていて、イタリアとスペインなどでは命を救うために必要な医療施設でのマスク不足が深刻化しています。世界規模でのマスク不足を解決するため、各国政府が自国のメーカーに指示している影響もあり、多くの企業がマスクの生産に着手しています。

シャープ、アイリスオーヤマ、ランボルギーニ、GMなど相次ぎ生産を開始

日本国内で異業種からマスク生産をスタートさせた企業にシャープがあります。シャープは3月24日に政府の緊急要請に応じ補助金を活用して、液晶パネル工場でマスク生産をスタートしています。また、すでに中国でマスク生産をしていたアイリスオーヤマは、3月末から日本国内でも生産を開始。6月には宮城県の工場を改修してマスク生産力を大幅に増強するとしています。

日本企業のマスク生産を後押ししているのが、政府の「マスク生産設備導入支援事業費補助金」です。シャープ、アイリスオーヤマをはじめ、興和、Xins、ハタ工業、アレグロニット工業、白鳩、北陸ウェブ、明星産商、meteco、ロキテクノ、ショウワ、マルエーニット、レッグニットクリスといった企業が補助金制度を活用しています。

海外では、ランボルギーニ、ゼネラルモーターズ(GM)といった企業がマスク生産をスタートしています。ランボルギーニはスーパーカーの工場を改修し、マスクを生産して病院に寄付しています。また、経営者主導の下で、マスク生産による支援の意義を発信しています。

GMは、マスク生産のためのプロジェクトチームを立ち上げ、医療機関が必要とするマスクの製品開発から、素材の選定、マスクの組み立てに必要な機械の設計まで、徹底して計画し、生産を実施しています。

パンデミック終息後はデザインの多様化は確実

マスクのデザインは、今回のコロナウイルス終息後さらに多様化がすすむことが予測されます。過去を振り返ってみると、2009年の新型インフルエンザ以降、ウイルスの飛散を防止する立体マスクのデザイン化が進みました。

新型コロナウイルスの発生によって、付け心地や高機能を追求した更なるデザインの多様化が進むでしょう。

マスク市場は、米国、欧州を中心に世界中に拡大

マスク市場をビジネスの視点で見てみると、新型コロナウイルスの出現により、マスク市場に新たな市場が登場したことは注目すべき点です。日本では普段から見慣れていたマスク姿ですが、それが世界中に拡大していくという歴史的な転換期が訪れるかもしれないのです。

日本国内においては、2009年の新型インフルエンザの世界的流行や、2012年頃から本格的に注目され始めた花粉やPM2.5の飛散を背景に、マスク市場は右肩上がりに上昇しています。新型コロナウイルス出現後のマスク市場は、国内外の需要を受け、大きく拡大することが予測されます。

文・J PRIME編集部/提供元・J PRIME

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