2020年現在、政府による金融緩和政策により日本では歴史的な低金利が20年以上続いています。年功序列で給与が上がり、退職金ももらえる時代ではなくなってきています。しかしこのような時代であっても、子どもの教育資金や住宅の購入資金、老後の生活資金は必要です。
2020年は新型コロナウイルスの影響で、資産運用を考え始めた方も多かったことがうかがえます。では、資産運用に挑戦して積極的に資産を増やそうとするとき、初心者は何から始めればよいのでしょうか? 本記事では「資産運用とは何だろう?」と疑問を抱えている方のために、資産運用の種類や特徴、注意点をわかりやすく解説します。
目次
資産運用とは?
・資産運用におけるリスクとは
資産運用の種類と特徴
・少額からできる資産運用
・初心者向けの資産運用・つみたてNISAとiDeCo
資産運用とは?
資産運用とは、資産を増やす行為です。預貯金で資産を貯めていく方法と、投資で増やしていく方法があります。
預貯金のような貯蓄は現在、大手銀行の普通預金で金利が0.001%。たとえ1,000万円預けていても、利息は100円しか付きません。そのため資産を増やすことを目的にするならば、投資信託や株式などに投資をして運用する必要があります。
「投資」と聞くとPCの画面に1日中張り付いて金融商品を取引するイメージを抱いている方もいるかもしれません。しかし投資の中には、特定のタイミングで運用先に資金を投じるだけであとは何もせず、資産を増やせる方法はあります。
資産運用におけるリスクとは
資産運用の世界におけるリスクとは、リターン(収益)の振れ幅です。リスクの高い投資ほど、大きな収益を得られる可能性がある一方で、大きく値下がりする可能性もあります。
一方でリスクが低い投資は、大きく元本割れを起こす心配はありませんが、保有資産が大きく増えることもありません。
運用先によってリスクの大きさは異なります。そのため資産運用を始めるときは運用先のリスクがどれだけあるのかを正しく理解して、運用先を選定することが大切です。
またこのような変動リスクを引き受けることによって上乗せされる収益を「リスクプレミアム」とよびますが、リスクプレミアムを得るには時間がかかり、それには長期投資が向いています。短期的には大きくマイナスやプラスに動くけれど、長期で運用するとリターンが安定してくるという考え方です。
資産運用の種類と特徴
資産運用の種類は、リスクとリターンの高さによって、以下のように分けられます。
ローリスク ローリターン | ミドルリスク ミドルリターン | ハイリスク ハイリターン |
---|---|---|
・預貯金(普通預金・定期預金) ・債券(国債) など | ・投資信託 ・ETF(上場投資信託) ・実物不動産 ・REIT(不動産投資信託) ・外貨預金 など | ・株式(個別銘柄) ・FX(外国為替証拠金取引) ・仮想通貨 ・先物取引 など |
リスクやリターンが高い投資ほど高い利回りが期待できますが、安定した収益を得るのが難しくなります。投資の経験がない状態で、最初から高いリスクのある投資に巨額の資金を投じては、元本割れが確定して失敗する可能性を高めてしまうでしょう。
資産運用を始めるときは、「自分がどの程度のリスクを受け入れることができ、そのリスクに応じていくら投資金額として使えるか」を決めてから投資を始めることが大切です。
少額からできる資産運用
まずは資産運用の中でも、少額の資金から始められるものを紹介します。
初心者向けの資産運用・つみたてNISAとiDeCo
資産運用の初心者は、つみたてNISAやiDeCoの口座を開設してインデックス型の投資信託を購入するのが、もっともおすすめです。
なぜなら、投資信託や株式の金融商品の売却益や配当に対して、通常は約20%の税金がかかりますが、それがかからなくなるからです。
【NISAとは】
少額投資非課税制度のことで、年間で一定金額まで投資ができます。ここでは「つみたてNISA」を念頭に置いて話を進めます。
【iDeCoとは】
個人型確定拠出年金のことで、毎月一定額の掛金を拠出して投資信託や保険などの金融商品で運用し、老後の年金を準備する制度です。iDeCoも運用益に対して税金がかからないほか、掛金の全額が所得控除となるため、掛金をかければかけるほど控除される金額が多くなるので、結果として税金(所得税と住民税)の負担が軽減できます。
つみたてNISAとiDeCoは、どちらも資産運用の王道であり基本である「長期・積立・分散」投資に当てはまります。
つみたてNISAは毎年40万円まで、20年間非課税で運用ができる制度です。iDeCoは原則として、始めると60歳までは受け取れないため、どちらも長期・積立・分散運用となります。
つみたてNISAは金融庁の基準をクリアした商品、iDeCoは商品数自体が少ないので、初心者でも選びやすいといえます。どちらも手数料の安いなるべく広い市場を対象とした投資信託を選ぶと、「資産を増やす」という目的に合致するのではないでしょうか。
国債(債券)
個人向け国債とは、国にお金を貸し出した人に発行される債券(借用証明の一種)です。国に一定期間お金を貸し出すことで、定期的な利息収入を得られて、満期になると元本(額面金額)が戻ってくる仕組みです。元本は国によって保証されているため元本割れする心配は基本的にありません。
国債は、銀行や証券会社を通じて1万円から購入でき、0.05%の金利が最低保証されています。また国債を購入してから1年が経過すると、途中換金が可能です。
投資信託
先述のつみたてNISA、iDeCoでも登場しましたが、改めて投資信託とは、運用のプロであるファンドマネジャーが投資家から集めた資金を国内外の株式や債券などに投資して、得られた収益を投資家に還元する金融商品です。投資信託の最低投資額は、ネット証券では100円から投資できる場合もあります。
投資信託を購入するだけで、株式なら世界中の株、不動産なら1つの建物ではなく複数の建物、などのさまざまな投資先に分散投資することができます。
投資信託の運用で気をつけたいのは、購入手数料や信託報酬などのコストができるだけかからないものを選ぶことです。投資信託のコストは、長期で運用すればするほどリターンに影響してきます。商品や金融機関によって異なるため、入念に確認して選びましょう。