国レベルではなく、個人でつながる
会議初日17日には、「ウクライナ戦争」をテーマにしたセッションがあった。ウクライナ、ロシア、他複数の国のジャーナリストが参加した。活発な議論が交わされたが、参加ジャーナリストを危険にさらさないため、誰が発言したかの報道は禁じられた。発言内容は紹介できる。
ここでも、偽情報やプロパガンダ報道が取り上げられた。
あるジャーナリストが、ウクライナ近隣のジョージア、モルドバ、ベラルーシなどでロシア語のプロパガンダ報道が広がる時、「本当にこんなことが起きているかどうか」について、各国に住むジャーナリスト同士が互いに連絡を取り合い、事実確認するべき、と述べ、場内から拍手が沸き起こった。
「政府対政府」、あるいは「媒体対媒体」の会話ではなく、「個人同士・市民同士」でつながろう、という呼びかけだった。
現地のジャーナリストを助ける
欧州ジャーナリスト連盟(EFJ)のエイドリアン・コリン氏によると、EFJはこれまでにも各国の労組を通じて攻撃の対象となるジャーナリストへの研修やほか支援を提供してきたという(セッション6、18日)。
ウクライナ侵攻は「これまでになかった事態」で、ジャーナリストたちは対応できるスキルを身に着けないまま、十分な防具も持たされないままに「前線に送られている」。
3月初め頃から「具体的にどのようなニーズがあるか」を探し出すためにEFJの職員を派遣した。
最優先となったのが、身の安全を確保するための防御関連のグッズだったが、現地に送る手配が「非常に難しかった」、「国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)を通じて早急に送れるようにした」。
ジャーナリストの国外への一時避難、居住場所の移動(リロケーション)も支援している。「今、約1000人のジャーナリストがリロケーションを希望している。中期的には3000人に増えるだろう。最終的には、ジャーナリストだけで5000人、家族も含めると2万人が国外での居住となる可能性がある」。