近年、IT系の企業を中心に「プロダクトマネージャー」という職業が注目されはじめています。
この背景には、GAFAM(※)を中心とした米国の巨大IT系企業の存在があると言われていますが、プロダクトマネージャーとはどのような職業なのでしょうか。
この記事ではプロダクトマネージャーの概要や仕事内容、必要になるスキルなどを解説していきます。また、疑問に思う方も多い「プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーはどう違うの?」といった内容も確認していきましょう。
(※GAFAM:Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの頭文字。読みは「ガーファム」)
目次
プロダクトマネージャーとは?
プロダクトマネージャーのおもな仕事内容
プロダクトマネージャーの年収相場
プロダクトマネージャーになる方法
プロダクトマネージャーに必要なスキル
プロダクトマネージャーに役立つ資格
プロダクトマネージャーの将来性
まとめ
プロダクトマネージャーとは?
プロダクトマネージャーを直訳すると「プロダクト(製品)をマネジメント(管理)する人」になるので、単に製品管理をする仕事のように思われがちです。しかし、仕事はそれだけではありません。
どんな製品なら顧客の満足度を上げることができるのか、それをどのように販売していけば良いのかといった、マーケティング戦略なども立案していくポジションを「プロダクトマネージャー」と呼ぶのです。
プロダクトマネージャーは、製品を製造/販売していく際に携わる多くの部署(営業・研究開発・財務・法務など)を取りまとめる仕事でもあり、そのプロダクトに対しての全責任を負う重要なポジションです。
なお、事業フェーズによってもプロダクトマネージャーの役割や立ち回りは大きく変わってきます。詳しくは以下の記事をご覧ください。
プロジェクトマネージャーとの違い
「プロダクトマネージャー」とよく混同される職業に「プロジェクトマネージャー」が存在します。
プロダクトマネージャーの仕事は、顧客の課題解決のためにどういう製品を作るのかに焦点があてられます。このことから「何を作るのか(What)」「なぜ作るのか(Why)」が重要になります。
対してプロジェクトマネージャーは、品質(Quality)/費用(Cost)/納期(Delivery)の頭文字をとったQCDに焦点をあててプロダクトに関わるので、「いつまでに(When)」「どうやって作るのか(How)」が求められるポジションです。
プロダクトに関わるポジションとしてどちらも重要な役割をはたしていますが、求められる役割は全く別物です。
なお、日本ではプロジェクトマネージャーを「PM」、プロダクトマネージャーは「PM」あるいは「PdM」と呼びますが、欧米ではプロダクトマネージャーを「PM」、プロジェクトマネージャーを「PJM」と呼ぶことが多いです。ややこしいですね。
プロダクトマネージャーの役割を示す「プロダクトマネジメントトライアングル」
定義があいまいになりがちなプロダクトマネージャーの役割を把握するうえで、海外で提唱されたグラフィックモデル「プロダクトマネジメントトライアングル」を知っていて損はないでしょう。
プロダクトマネジメントトライアングルの中心に位置するのは、当然ですがプロダクト自身となります。ソフトウェア開発におけるプロダクトとは、ユーザーがアクセスできる環境に配置されたコードで構成されるものを指し、全てのプロダクトは開発者、ユーザー、ビジネスの3方向とつながっています。
プロダクトマネージャーにはこれらの領域を健全に機能させることが求められるため、仮に特定の機能がなければ自分でその役割を担う必要があるでしょう。たとえばデザイナーがいなかった場合、自ら雇う必要もありますね。
この図全体を俯瞰して見られる能力を求められることから、プロダクトマネージャーは多くのことを深く広く学び、組織やビジネスの変化に柔軟に対応できる必要があるとも言えます。
プロダクトマネージャーのおもな仕事内容
プロダクトマネジメントトライアングルを理解したうえで、代表的なプロダクトマネージャーの仕事内容についても確認しておきましょう。
仕事内容1. 市場や顧客の需要マーケティング
プロダクトマネージャーの大きなミッションは、顧客満足度を向上させ企業に大きな利益をもたらすことです。そのため、プロダクトマネージャーはまずは世の中が何を求めているかをリサーチする必要があります。
具体的には、どのような製品なら顧客満足度を向上させられるのかなどを検討し、市場や顧客のマーケティングを行います。
仕事内容2. 製品群のロードマップ作成
製品やサービスの開発を効率的に行うためには、どのようなものを作るのかを組織全体で共有し、どこへ向かおうとしているのか、現在どの位置にあるのかなどを共有する「プロダクトロードマップ」の作成は必要不可欠でしょう。
仕事内容3. 製造/販売損益の分析
製品やサービスの開発/販売に必要なコストについても分析する必要があります。
仕事内容4. 製品開発投資計画の立案
損益や財務状況を考慮したうえで、マーケティング戦略だけでなく、企業の財務上の情報をデータ分析することなども必要です。
仕事内容5. 製品群のライフサイクル管理
「製品がいつまで求められるのか」といった世の中における製品の需要変化を予測し、見極める必要があります。見極めた製品の寿命をもとに、生産する製品のライフサイクルの管理も行います。
仕事内容6. 製品ブランドの構築/管理
製品ブランドのイメージは、消費行動を左右する重要な要素です。異なるメーカーの「同じ性能」「同じ価格」の製品があった場合、より知名度が高く、評判のブランドを選びたくなるはず。消費者がブランドに抱くイメージをプラスにするための一貫性ある戦略を考え、管理実行するのもプロダクトマネージャーの仕事です。
仕事内容7. 市場や顧客への販売マーケティング
生産した製品、サービスを販売するためのマーケティングや、顧客への効果的な販売戦略を立案することも求められます。