「電子」の発見で錬金術は実現した⁈

それから間もなく、周期表のパターンをもたらす根拠となる「電子」が発見されました。

電子は原子核とともに原子を構成する極小の粒(素粒子)ですが、これが化学者にとって厄介きわまりないものでした。

というのも電子は、物質を「トンネル」を通過するようにすり抜けたり、2つの場所に同時に存在したりと、物質にはありえない動きをしたからです。

こうした性質をもつ物質の最小単位を「量子」と呼びます。

金を求めた「錬金術師」の歴史、どのように「化学」は生まれたのか?
(画像=電子の発見 / Credit: 「文部科学省」より、『ナゾロジー』より 引用)

量子は、科学界に革命的な変化を巻きおこしました。

重大な発見のひとつは「原子核反応を起こせば、元素はある種から別の種に転換できる」というものです。

これは、かつての錬金術師たちが追い求めた「元素の転換」そのものであり、化学のルールではありえないものでした。

実際、1951年にアメリカの化学者、グレン・シーボーグが、卑金属のビスマスを金に変えてみせたのです。

しかしこうした化学の進歩は、もろ刃の剣でもあります。核反応を知ったことで、人類は自らを傷つけてしまいました。こうした悲劇は繰り返してはならないのです。

参考文献
『NewScientist 起源図鑑』

提供元・ナゾロジー

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