Q9. なぜ政治家はリスクを正しく判断できないんでしょうか?

多くの国民が支持しないと政権は維持できませんが、国民が合理的に判断するとはかぎりません。マスコミは珍しい事件を大きく報道するので、国民は1回のハザードの大きさを基準にしてリスクを判断しがちです。

これは河野太郎さんから小林よしのりさんに至るまで、多くの人がおちいる錯覚なので、岸田さんが特に頭が悪いわけではありません。

Q10. リスク管理はどうすればいいんでしょうか?

政治家が「国民感情」に迎合してリスクを過大評価するバイアスは、民主国家では避けられません。対策の費用対効果を考えて慎重にやると、菅前首相のように「対策が甘かったから感染が増えた」と批判を浴びて、退陣に追い込まれてしまいます。

岸田さんのように過大評価しておけば、感染が止まったら「効果があった」といい、感染が悪化すると「最大の対策をとってこれで食い止めた」ということができるので、どっちに転んでも得です。

こういうバイアスを避けるには、なるべく政治の裁量を少なくするルールが必要です。緊急事態宣言については条件が法律で決まっていますが、入国禁止は内閣が勝手に決められるので危険です。水際対策の基準を決め、ルールにもとづいたリスク管理をすべきです。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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