黒坂岳央(くろさか たけを)です。

ビジネスをしていると、自分より年の若い人とコミュニケーションを取る機会がある。40歳を間近に控えた自分はまごうことなきおじさんなわけだが、特に若い人とのコミュニケーションにおいて気をつけているのは相手との「距離感」である。

嫌われるおじさんと慕われるおじさんの差は「距離感」
(画像=davidf/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

ネットや雑誌などのメディアでは「これがイケてるモテおじさんの条件!」みたいなものが取り上げられる。服装が似合っているとか、年下には食事をご馳走するとか、振る舞いが落ち着いているなど様々な条件がある。だが「距離感」についてはあまり言及されることがない。そしてこの距離感で嫌われる人、慕われる人をわける差を見てきたつもりだ。

本稿で取り上げることで、何かしら気づきにつながれば幸いである。

嫌われるおじさんは距離感を間違えている

Twitter上で下記のツイートが反響を呼んでいる。

「男女ともに30代後半から俺様化が始まり、それが老害の入り口だ」

「老害になると強固な決めつけ、説教、いばる。気をつけよう」

件のツイートには、概ね肯定的な反響が寄せられている。

また、世の中で敬遠されるおじさんとは、若い頃の感覚から変化出来ないことに立脚する、というするどい投稿も見られた。

相手との距離感が適切でない人は、何もおじさんという中年男性に限った話ではない。女性でもそういう人はいるし、若い人でも初対面にも関わらずプライベートに土足で踏み込むようなコミュニケーションを取る人もいる。

それなのになぜ、おじさんだけが厳しく見られてしまうか?ここからは個人的観測の粋を出ないが、本来は年とともに人生経験を重ねたはずなのに、振る舞いが稚拙であるという可能性はあるのではないだろうか。また、社会的地位の高い男性の場合、周囲からネガティブフィードバックを得にくい立場にあり、その結果裸の王様化してしまうケースもあると思っている。

いずれにせよ、距離感を間違えたおじさんを待ち受ける社会的な評価は辛辣である。気をつけなければいけない。

敬遠されるのは距離感を間違えるから

ネットで距離感を間違っていると思しき人物に遭遇することがある。

実際に体験したもので言えば、突然SNS経由で「近くに住んでいる者だが一度、あなたに直接会いたい!」というものだ。こちら側は相手の事は一切わからず、また直接会うことへの必然性も一切示されていない。要件を聞いてみると「会ってこちらの話を聞いてもらいたい。あなたのアドバイスがほしい」ということなのだが、このようなオファーはこちら側のメリットは皆無である。自分も人間なので困っている人はできるだけ手を差し伸べたいと思う気持ちはある。だが、はじめましてだからこそ、最初に示す距離感は極めて重要だ。まずはテキストメッセージのやり取りからスタートすることが、順当なステップではないだろうか。

そして自分自身は距離感を気をつけている。筆者は英語を教えるビジネスをしているのだが、受講生さんから英語力を活用した転職相談をされることがある。その際、自分の経験談や知識を話す時には、自分の考えの押しつけをせず、説教臭くならず、あくまで相手に共感を示しながら問題点を言語化し、解決するための情報提供というビジネスライクなスタンスを取るようにしている。これを間違えると、「過去の武勇伝」「自慢話」となりかねないからだ。相手へのアドバイスの時間が、こちらの自己顕示欲と承認欲求解消の場になってはいけないのだ。

それ故に華々しい成功例ではなく、できるだけ相手に気をつけてもらいたい失敗談を取り上げるようにしている。また、話も冗長にならないようにし、聞く相手に価値を感じてもらえる部分に留め、価値提供につながらない話は一切しないように心がけている。