2022年度の税制改正の最大の焦点は、賃上げした企業の減税だ。賃上げした大企業には30%、中小企業には40%、法人税の税額控除率を上げるという。賃上げを求めるなら単に最低賃金を上げればいいのに、こんなややこしいことをするのは、最賃には中小企業が反対するためだ。
これは役所のいうことをきく会社だけ減税する、最悪の裁量行政である。結果を変えて原因を変えることはできない。問題はなぜ賃金が上がらないのかだ。その原因は、大きくわけて3つある。
労働生産性が低い
長期的には賃金=労働生産性になるので、日本の平均賃金(ドルベース)はG7の中では最低レベルだが、OECDの中では中央値に近い。

(画像=OECD諸国の平均賃金(購買力平価ドル)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
グローバル化で賃金が中国に近づいた
グローバルにみて日本の賃金が下がった大きな原因は、製造業の空洞化である。次の図のように、賃金を生産性で割った単位労働コストは中国とほぼ同じになった。

(画像=日本と中国の単位労働コスト(経産省)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)