“権力統制条項”の議論を急げ
この権限統制として、大きく2つのカテゴリーの統制が必要だと考える。
①原則国会の事前承認を求めるなどの「手続的統制」
②絶対に制限してはならない人権制限の限界を明示するなどの「内容的統制」
の2つである。
こうした考え方を前提に急ぎ議論すべき論点を、2点提起したい。
1点目は、そもそも「緊急事態の定義」について議論すべきと考える。国民民主党は、権力濫用を防止する観点から、ある程度限定列挙すべきとの考えである。具体的には、
①外国からの武力攻撃
②内乱・テロ
③大規模自然災害
④感染症の大規模まん延
の4つのカテゴリーを原則とすべきと考えている。何を緊急事態とするのか、まずこの点について議論を深め共通認識を形成したい。
2点目は、前回も提案した「議員任期の特例」についての議論は特に急ぐべきだ。任期満了時に正常な選挙ができないような事態に陥った場合に、任期の特例延長の規定を創設すべきと考える。この点については、夏に参議院選挙を控えており、早急に議論して結論を得ることが必要な論点だと考える。
この点に関して、憲法54条2項の参議院の緊急集会は解散時だけでなく、任期満了時にも内閣は開催を求めることができるのか、その解釈を本審査会で明らかにすべきだ。
私たちは、54条2項の文言上、緊急集会は任期満了時には開催を求めることができず、解散時以外にも開催を認めるのであれば、やはり憲法改正が必要だと考える。まず、この54条2項の解釈を確定するための集中審議を求めたい。夏までに早急に結論を得たい。
これ以外にも、「人権制限の限界」「人権の本質的内容の絶対的制限禁止」など、緊急事態条項については議論すべき論点が多々あるので、ことの緊要性に鑑み、次回からは緊急事態条項に絞った集中的な審議を求めたい。そして言いっぱなしではなく、具体的な結論を得られる審査会の運営をお願いしたい。
前回も申し上げたが、憲法は飾っておくものではなく、魂を入れて活かすことが必要。その息吹を吹き込む役割を憲法審査会が果たすべきである。そのためにも、憲法審査会を毎週開催することを、改めて求めて発言を終える。
編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2022年3月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。
文・玉木 雄一郎/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?