憲法解釈の限界

今後も、具体的な成果を出せる議論を行っていくことを求めたい。今回問われたのは、いかなる事態の下においても、国会の機能を止めてはならず、そのための方策を緊急事態の発生前に事前に講じておくべきということ。今回は解釈でオンライン出席が認められたが、解釈で認められない限界も見えた。つまり憲法改正が必要な外縁も明らかになった。

昨夜も大きな地震があった。想定外のことが多発する時代だ。前例踏襲ではなく、想定外に備えて準備する姿勢が必要であり、憲法審査会でもあらゆることを想定した議論を積極的に進めておくべきだ。その意味で、次に議論が急がれるのは、緊急事態条項についての議論である。

緊急事態条項がないことの危険性

国民民主党の考える緊急事態条項についての基本的考え方を述べたい。それは一言で言うと、「緊急事態条項自体が危ないのではなくて、まともな緊急事態条項がない中で、恣意的に権力が行使される余地が残されていることが危険である。」ということだ。

「緊急事態条項は危険」との印象を持つ方もいるが、それは憲法の規律性が乏しいことから生じる問題だと考える。確かに、一般的な「緊急事態条項」のイメージは、「行政府の簡易・迅速な権限行使」を可能とする“権限行使容易化条項“としての緊急事態条項である。

しかし、私たち国民民主党の考える緊急事態条項は、緊急事態においては平時よりも強度な措置が必要とされる場合もあることを認めつつも、むしろ「公共の福祉」などの漠たる規定を根拠として、行政府である内閣による権力の濫用や人権侵害の危険性が高まること、また、国全体が正気を失いがちになるという歴史の教訓に鑑み、これに対する立法府である国会や司法府である裁判所による統制を明示する“権限統制条項“としての緊急事態条項である。