不動産投資を始めると必要になるのが確定申告です。慣れない確定申告でつまずきがちなのが、経費の扱いではないでしょうか。ここでは経費の中でも通信費にフォーカスを当てて、通信費の計上のポイントを解説します。

目次
不動産投資における通信費とは
 ・通信費として計上できるもの
 ・通信費の経理処理の方法
 ・荷造運賃と通信費の違いに注意
通信費の按分処理、計上のポイント
 ・按分は使用時間を目安にする
 ・記帳の仕方

不動産投資における通信費とは

業務に関係する通信代は、通信費として経費に計上できます。どのようなものが経費にできるのかみていきましょう。

通信費として計上できるもの

通信費とは、管理会社や仲介会社と電話で話す際に発生する費用や、インターネットで物件を検索するときにかかる費用のことです。通信費として認められるためには、業務遂行上必要であることが前提となります。

業務遂行上必要になるか否かのラインは、後に解説する按分(あんぶん)処理にも関わってくることなので、しっかりと抑えておきましょう。

通信費として認められる具体的な例は以下の通りです。

  • 通話料
  • インターネット通信料

通信費の経理処理の方法

通信費をはじめ、交通費や水道代など、生活に関わる費用は、私用と業務用の区別をつけることが難しいです。私用と業務用で重なる費用のことを、家事関連費といいます。

家事関連費については、次の記事「 不動産に関わる所得税の理解を深めよう!家事費・家事関連費・事業経費 」をご覧ください。

これらは、私用と業務用で使用割合を決めて費用を計上します。これを事業按分といいますが、これについては、後ほど詳しく説明します。

経理処理の流れは以下通りです。

(1)毎月の通信費を事業用の口座から引き落とす。

※この時点では全て事業分の費用とします。

(2)決算の際に私用分を差し引く。

※この時点で事業按分がなされ、実際の業務用の費用だけが計上されます。

荷造運賃と通信費の違いに注意

ものを送るときの費用は、通信費と荷造運賃の2種類があるので注意が必要です。

この分け方は、売り上げに関連するか否かがポイントです。費用が発生した時、その費用が売り上げに関連していれば荷造運賃、関連していなければ通信費となります。

例えば、書類の郵送などで切手代が発生した場合は通信費となります。これは、書類の郵送が、売り上げに直接かかわっているわけではなく、業務上必要な事務作業だと認識されるためです。

一方で、取引先に商品を配送するときは荷造運賃となります。商品を配送することが、売り上げに直接関係していると考えられるためです。

不動産投資しか行っていないのであれば、商品の郵送などはあまり発生しませんが、せどりなどの副業を行っている場合は注意が必要になります。

通信費の按分処理、計上のポイント

不動産投資の経費で処理できる通信費。経理処理の方法と注意点
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

通信費は、私用と業務用で分けるのが難しい項目であることは先述しました。本来であれば事業用として通話した時間に係る通話料金だけが必要経費になりますが、これは現実的な方法とはいえませんし、そもそも無理だと思います。では、どのように処理をすれば経費となるのでしょうか。

按分は使用時間を目安にする

事業按分は、私用と業務用の使用割合に基づいて費用を計算します。通信費の場合は、おおよその使用時間を目安で計算します。

1日のうち、携帯電話を業務用に4時間使う場合、私用の時間は20時間となります。1カ月当たりの携帯電話料が1万8,000円とすると、通信費はこれの1/6に当たるので3,000円です。大事なのは厳密に按分することではなく、現実味があり、その根拠が説明できる方法で按分することです。

記帳の仕方

通信費を記帳する場合は、以下の様に記帳します。

ここでは、先ほどの例の通り、1ヵ月あたり1万8,000円の携帯電話代金がかかっていて、事業按分は3,000円とします。

借方
金額(円)
貸方
金額(円)
摘要
通信費
3,000
普通預金
1万8,000
1月分携帯電話代
事業主貸
1万5,000
借方合計
1万8,000
貸方合計
1万8,000