コロナ禍2年目だった2021年、スイスや他ヨーロッパ諸国では、飲食業店が再開したり、ワクチン接種が進んだり、新型コロナ証明書の利用が始まったりと、以前の生活に近づけるべく必死でしたが、観光業は相変わらず苦しい状況でした。
夏になっても、例年であれば世界中から多くの観光客を迎えるスイスですが、2021年の夏も前年同様、スイス在住者やドイツ、フランス、イタリアといった近隣の国々からの観光客に期待するのみ。
そんな昨年の夏、観光客に人気の山岳リゾート地ツェルマット(Zermatt)に3日間滞在しました。その時の状況を回想録としてお届けします。
目次
ロックダウン、国境の水際対策―スイスの人気観光地の苦悩
閑散としていたツェルマットの町
ロックダウン、国境の水際対策―スイスの人気観光地の苦悩
<テーシュ(テッシュ)駅から列車でツェルマット駅へ>
ツェルマット観光局によれば、2018年11月~2019年10月までの1年間で、230万人の観光客がツェルマットに滞在したのだとか。そのうちの約6割はドイツや米国、英国、そして日本からの観光客。
しかしその後、新型コロナウイルス拡大により、欧州圏外からの観光客がガクッと減ったため、ツェルマットのみならずスイスの他の観光地でも、ホテルや飲食店、ブティック、土産店は、時短営業をしたり、閉店を強いられたりといった憂き目に遭っていました。
我が家からツェルマットまでは車で2時間ほど。しかしツェルマットは環境に配慮しており、ガソリン車の乗り入れを禁止しているので、近くのテーシュ(テッシュとも/Täsch)のパーキングに駐車し、そこから電車に乗り換えて向かいました。
週末にもかかわらず、テーシュ駅構内は静かな雰囲気で、列車内もかなり空いていました。
そうこうしているうち、10分ほどの乗車でツェルマット駅に到着です。
閑散としていたツェルマットの町
<ツェルマット駅前のメインストリート、バーンホフ通り。金曜日の午後にしてはやや人出が少ない>
ツェルマットは年間を通し観光客で賑わいますが、スキーシーズンが終わり、夏休みが始まる前までの5月~6月頃は、ややシーズンオフ期になります。とはいえ週末に駅前の通りがしーんとしていると、ちょっぴりゴーストタウンのような雰囲気でした。
私が滞在していた時、イタリア語圏やスペインなどからの観光客が多く訪れていたのか、店や通りなどでよくこれらの言葉を耳にしました。このようにコロナ禍でもスイス在住者やヨーロッパからの観光客はそれなりにいましたが、日本など遠方からツェルマットに滞在する旅行者と異なり、土産屋やブティックで爆買いをすることはあまりありません。
そのため、いつもならお客さんでにぎわう店は閑古鳥。すでに閉店してしまったと思われるギフトショップや、週末のみ営業している土産店などもありました。
<教会前にあるキルヒ広場(キルヒプラッツ/Kirchplatz)>
さて、駅前の大通りをぶらぶら歩いていると、あちこちからドリルの音や、工事現場のような音がひっきりなしに聞こえてきます。観光客があまりいない時期に、村の墓地や道路、泉などを整備したり、ホテルを改築したりしていたようでした。